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「一巡り〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

一巡りの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
いのちの初夜」より 著者:北条民雄
の高い柊《ひいらぎ》の垣根に沿って歩いて行った。正門まで出るにはこの垣をぐるりと一巡りしなければならなかった。彼はときどき立ち止まって、額を垣に押しつけて院内を....
首を失った蜻蛉」より 著者:佐左木俊郎
って醸《かも》し、それをまのあたり凝視《みつめ》るのは……。 彼は池のほとりを一巡りしてから、杉木立の中に足を入れて見た。日曜毎に東京から押し寄せて来る多くの....
雛妓」より 著者:岡本かの子
よ」 と、はらはらしながら忠告するほどであった。 葬列は町の中央から出て町を一巡りした。町並の人々は、自分たちが何十年か聖人と渾名して敬愛していた旧家の長老....
」より 著者:徳田秋声
が時々白い水のうえを走った。笹村は長くそこに留まっていられなかった。 町をまた一巡りして宿へ帰って来た笹村は、この十日ばかり何を見つめるともなしにそこに坐って....
みさごの鮨」より 著者:泉鏡花
せてから――買ものに出た時とは反対の方に――そぞろ歩行でぶらりと出て、温泉の廓を一巡り、店さきのきらびやかな九谷焼、奥深く彩った漆器店。両側の商店が、やがて片側....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
期を見て、日本中を歩いて一巡《ひとめぐ》りして来てえと思ってたでね」 「日本中を一巡りって、与八さん、一人でそんなことを……」 「一人じゃねえんだ、わしぁ、この....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
それは、どういう人ですか」 「この近辺の人ですが、日本でははじめて、この世界中を一巡りして来た人の仲間のうちの一人だそうでございます、世界の国々を経巡《へめぐ》....
オランウータン」より 著者:豊島与志雄
して二三度、オランウータンを眺めに行った。銀座裏にしじゅう出かけた。 動物園を一巡りして、夕方、最後にまたオランウータンを眺めていると、私の肩を叩いた者がある....
乳を刺す」より 著者:邦枝完二
わった。 「よし、これからおめえの、親父に逢おう。おい竹。ここの旦那に、おいらア一巡りしてくるからとそう云って来ねえ」 いきなり立ち上がった伝七は、平太郎の手....
釘抜藤吉捕物覚書」より 著者:林不忘
い店、それから奥の居間から小座敷と、たがいに不意の襲撃を警《いまし》めあいながら一巡りしたが、仕事場も住居家も綺麗に片づいて人のいる様子もない。蒲鉾だけは拵えた....
飛騨の怪談」より 著者:岡本綺堂
帰ろうよ。」 とは云ったが、まだ幾分の未練が有るらしい、市郎は壁に沿うて室内を一巡りした。 「や、あの隅に大きな穴がある……。」 お杉の眼は晃然と光った。市....
太陽とかわず」より 著者:小川未明
水も暖かになった。旅行にはいい時分である。幾日かかるかしれないが、この広い領地を一巡りしてこようと思う。」と、かわずは、さざなみの立つ池の面を見渡しながら独り言....
宮本武蔵」より 著者:吉川英治
息のように出ることは滅多にない。 誰も来ない。 やや退屈を感じて広い境内を、一巡りしてまた戻って来た。 まだ約束した人足は一人も見えていなかった。 闇の....
三国志」より 著者:吉川英治
したか」 「董太師が※塢へお還りと聞いたので、門前に立ってお見送りしたついでに、一巡りしようかと驢を進めて来たところです。――将軍は、何しに?」 「王允、何しに....
三国志」より 著者:吉川英治
、その日、淮陰の河畔へ陣をすすめていた。 黄昏ごろ―― 関羽は部下を従えて、一巡り前線の陣地を見廻って戻ってきた。 すると、歩哨の兵が、 「敵か」 「敵ら....