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一思い
「一思い〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
一思いの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
ざわらうように、こう言った。
「死ななくったって、ひくひくしているよりは、いっそ
一思いに、のど笛でも犬に食いつかれたほうが、ましかもしれないわね。どうせこれじゃ....
「一夕話」より 著者:芥川竜之介
っても、掴《つか》まえない内にすれ違ってしまう。もし『幸福』を掴まえる気ならば、
一思いに木馬を飛び下りるが好《よ》い。――」
「まさかほんとうに飛び下りはしまい....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
並べ出した。
「人間が鉤《かぎ》を恐れている内に、魚は遠慮なく鉤を呑んで、楽々と
一思いに死んでしまう。私は魚が羨しいような気がしますよ。」
彼は黙ってもう一度....
「藪の中」より 著者:芥川竜之介
した。
「あなた。もうこうなった上は、あなたと御一しょには居られません。わたしは
一思いに死ぬ覚悟です。しかし、――しかしあなたもお死になすって下さい。あなたはわ....
「或る女」より 著者:有島武郎
がら、右手の指先を四本そろえてその爪先《つまさき》を、水晶のように固い美しい歯で
一思いに激しくかんで見たりした。悪寒《おかん》のような小刻みな身ぶるいが絶えず足....
「或る女」より 著者:有島武郎
世を見つめているうちに、そのやせきった細首に鍬形《くわがた》にした両手をかけて、
一思いにしめつけて、苦しみもがく様子を見て、「そら見るがいい」といい捨ててやりた....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
た。 「夢ではありません、が、この世の事ではないのです。お、お道さん、毒を、毒を
一思いに飲まして下さい。」 と魚の渇けるがごとく悶ゆる白歯に、傾く鬢からこぼる....
「天守物語」より 著者:泉鏡花
私が御介錯、舌を噛切ってあげましょう。それと一所に、胆のたばねを――この私の胸を
一思いに。 図書 せめてその、ものをおっしゃる、貴方の、ほのかな、口許だけも、見....
「陽炎座」より 著者:泉鏡花
弟、家眷親属、己が身勝手な利慾のために、恋をせかれ、情を破られ、縁を断られて、同
一思いで、狂死するわいの。あの、厄年の十九を見され、五人、三人|一時に亡せるじゃ....
「第二菎蒻本」より 著者:泉鏡花
仲見世から本堂までは、もう人気もなく、雨は勝手に降って音も寂寞としたその中を、
一思いに仁王門も抜けて、御堂の石畳を右へついて廻廊の欄干を三階のように見ながら、....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
いた。舷を横に通って、急に寒くなった橋の下、橋杭に水がひたひたする、隧道らしいも
一思い。 石垣のある土手を右に、左にいつも見る目より、裾も近ければ頂もずっと高....
「沼夫人」より 著者:泉鏡花
そんな事があったってな、危いじゃないか。」 と云う内に自から真心が籠って、 「
一思いに好男子、粉にする処だっけ。勿論、私がこうして御近所に陣取っていれば、胴切....
「アグニの神」より 著者:芥川竜之介
寄せました。 「この阿魔め。まだ剛情を張る気だな。よし、よし、それなら約束通り、
一思いに命をとってやるぞ」 婆さんはナイフを振り上げました。もう一分間遅れても....
「トロッコ」より 著者:芥川竜之介
ずいても走って行った。 やっと遠い夕闇の中に、村外れの工事場が見えた時、良平は
一思いに泣きたくなった。しかしその時もべそはかいたが、とうとう泣かずに駈け続けた....
「活人形」より 著者:泉鏡花
警戒れば、八蔵は高慢なる顔色にて、「たかが生ッ白い痩せた野郎、鬼神ではあるめえ。
一思いに捻り潰してくりょう。と力瘤を叩けば、得三は夥度頭を振り、「うんや、汝には....