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一思案
「一思案〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
一思案の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「十円札」より 著者:芥川竜之介
余り無造作《むぞうさ》に解決出来る場合だけは、――保吉は未《いま》だにはっきりと
一思案《ひとしあん》を装《よそお》った粟野さんの偽善的《ぎぜんてき》態度を覚えて....
「明暗」より 著者:夏目漱石
《てんめん》した情実を傍《かたわら》に置いた、自然不自然の批判から云っても、実は
一思案《ひとしあん》しなければならない点であった。それを平生の細心にも似ず、一顧....
「寺坂吉右衛門の逃亡」より 著者:直木三十五
、間際に、逃出した者が、四五人もいるんだ。何が卑怯なもんか。喋らないとすれば――
一思案だ――国へ、討入の顛末《てんまつ》を知らせるため、一人抜けて出た? 成る程....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
なが》されて、山崎譲は、 「まあまあ、待て」 甲源一刀流の額面を仰いで、何をか
一思案の体《てい》に見えました。 七兵衛が草鞋《わらじ》の紐を結んでいると、額....
「神秘昆虫館」より 著者:国枝史郎
つまでもこの里は、平和を保つことが出来ますので」 こう云われて見れば小一郎も、
一思案せざるを得なかった。 「なるほどな、そんなものかも知れない」心の中で呟いた....
「化銀杏」より 著者:泉鏡花
たに違いない。うむ、お貞、どうだ、それとも見棄てて、離縁が出来るか。」 お貞は
一思案にも及ばずして、 「はい、そんなことは出来ません。」 病者はさもこそと思....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
いうわけじゃありませんけれど、誰かに言えば、キット留めますもの」
「では、それも
一思案として、どうしてここを出ますか。お雪ちゃんだけは、出られるとしても、相手を....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
なのです。 お雪ちゃんに笑い消されたにも拘らず、米友がそれからまた、何かじっと
一思案をはじめて、炉に赤々と燃えている火に眼をつけて放たなかったのは、やや暫くの....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
の笠を取り直しました。そうして、矢立を取り出して、墨汁を含ませて、何をかしばらく
一思案。それから、さらさらと笠の内側の一部分へ、 思君不見下渝州 さらさら....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
少しばかり悄気《しょげ》てきました。これは馬鹿囃子だけでは追付かない、何かほかに
一思案と思っているうちに、大尽《だいじん》の屋敷の園遊会の当日となりました。 ....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
むしろ》の類《たぐい》であろうと思われる。それをじっと立って見ていた米友が、また
一思案を思い浮べました。 「そうだ、焼いてしまえば、元も子もなくなる」 そこで....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
って、旅の男は、スタスタと本堂の方へ行ってしまいました。 その後で、弁信は何か
一思案ありそうな面《かお》をして、 「もう暗いはず、灯《あかり》が無くて見えるか....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
」 田山白雲は、全く別様な頭の働きを、この異様な額面の絵と文字との上に向けて、
一思案なからざるを得ませんでした。 「はてな――全く、これは、はてなだ――清澄村....
「現代茶人批判」より 著者:北大路魯山人
ころである。が、しかし欲をいうと、私は知人の松永さんのことだけに、今一歩を進めて
一思案しなおしてもらうわけにはゆかないものであろうかと考えるのである。この今一歩....
「黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
つくる。目指す山稜だなと直覚したものの行先が見透せない。兎も角も前の堤防へ登って
一思案する気で、笹の中へ潜り込む。併し二十歩とは行かぬうちに私達は狭いが深い谷に....