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一所
「一所〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
一所の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
鼾《たかいびき》の声が聞えるばかり、どこもかしこもひっそりと静まり返って、たった
一所《ひとところ》焚き残してある芥火《あくたび》さえ、風もないのか夜空へ白く、ま....
「魔術」より 著者:芥川竜之介
訳か、ランプはまるで独楽《こま》のように、ぐるぐる廻り始めました。それもちゃんと
一所《ひとところ》に止ったまま、ホヤを心棒《しんぼう》のようにして、勢いよく廻り....
「道祖問答」より 著者:芥川竜之介
かりか、ふと気がつくと、灯《あかり》の暗くなるのに従って、切り燈台の向うの空気が
一所《ひとところ》だけ濃くなって、それが次第に、影のような人の形になって来る。阿....
「さまよえる猶太人」より 著者:芥川竜之介
たそうでござる。」そこで、「そなたは何処のものじゃと御訊《おたず》ねあったれば、
一所不住《いっしょふじゅう》のゆだやびと」と答えた。が、上人も始めは多少、この男....
「或る女」より 著者:有島武郎
口びるを開いて美しくそろった歯並みをながめ、両方の手の指を壺《つぼ》の口のように
一所《ひとところ》に集めて爪《つめ》の掃除《そうじ》が行き届いているか確かめた。....
「或る女」より 著者:有島武郎
りかかってじっと冬枯れの庭を見つめている姉の肩に手をかけながらより添った。愛子は
一所《ひとところ》をまたたきもしないで見つめながら、
「えゝ」
と歯切れ悪く答....
「小さき者へ」より 著者:有島武郎
肉の眼で恐ろしい夢でも見るように、産婦はかっと瞼《まぶた》を開いて、あてどもなく
一所《ひとところ》を睨《にら》みながら、苦しげというより、恐ろしげに顔をゆがめた....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
l life)と呼ぶ。それは石の生活と同様の生活だ。石は外界の刺戟なしには永久に
一所にあって、永い間の中にただ滅して行く。石の方から外界に対して働きかける場合は....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
、旅籠屋になったがな、部屋々々も昔風そのままな家じゃに、奥座敷の欄干の外が、海と
一所の、大い揖斐の川口じゃ。白帆の船も通りますわ。鱸は刎ねる、鯔は飛ぶ。とんと類....
「唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
灯が一つ、ぼうと赤く、宙に浮いたきりで何も分らぬ。釣ランプだが、火屋も笠も、煤と
一所に油煙で黒くなって正体が分らないのであった。 が凝視める瞳で、やっと少しず....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
汚れた半※を首に巻いたのが、鼠色の兵子帯で、ヌーと出ると、捻っても旋っても、眦と
一所に垂れ下る髯の尖端を、グイと揉み、 「おいでい。」 と太い声で、右の洋冊を....
「伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
るなら、私も御恩がある。そういうあなたが御料簡なら、私が身を棄ててあげましょう。
一所になってあげましょうから、他の方に心得違をしてはなりません。」と強くいうのが....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
い。 視詰めて、夫人は、 「…………」ものも得いわぬのである。 「ああ、剰銭と
一所に遺失したんだ。叔母さんどの辺?」 と気早に向き返って行こうとする。 「お....
「瓜の涙」より 著者:泉鏡花
して、連の職人が、いまのその話をした時は…… ちょうど藤つつじの盛な頃を、父と
一所に、大勢で、金石の海へ……船で鰯網を曵かせに行く途中であった…… 楽しかっ....
「活人形」より 著者:泉鏡花
、まんまと首尾よくぶっちめる処を、さんざんにぶっちめられたのだ。忌々しい。「可し
一所に歩べ。行って下枝を連れて帰ろう。「おっと心得た。「さあ行こうぜ。「参ります....