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「一振り〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

一振りの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
星座」より 著者:有島武郎
清逸はそこまで考えてくると眼の前には障子も蝿もなくなっていた。彼の空想の魔杖の一振りに、真白な百合《ゆり》のような大きな花がみるみる蕾《つぼみ》の弱々しさから....
外套」より 著者:ゴーゴリニコライ
実的な調子さえ帯びている声を耳にすると、万一の用心に首を肩の間へすっこめて、鞭を一振りすると同時に、矢のように橇を飛ばせた。六分間あまりで、有力者は早くも自分の....
恩を返す話」より 著者:菊池寛
の若武者はいった。その男は、まぎれもない、同藩の佐原惣八郎であった。甚兵衛は頭を一振り振って、初めて意識の統一を取り返した。彼が壮漢のために、一撃を受けて昏倒し....
空襲葬送曲」より 著者:海野十三
のついたときは既に遅かった。一座は急に白けかかった。紅子は、断髪頭を、ビューンと一振りふると、卓子の前から腰をあげようとした。 「唯今――」 詰襟服の弦三が、....
聖アレキセイ寺院の惨劇」より 著者:小栗虫太郎
|米程離れた所で、落ちていた紙鳶を突き破っていたのです。」 そう云って、警部は一振りの洋式短剣を突き出した。銅製の鍔から束にかけて血痕が点々としていて、烏賊の....
神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
。 「今日の獲物、いざお受け取り!」 声と一緒に一人の武士は鞍壺に縛えた小男を一振り振って投げ出した。 「忝けない!」と飛び交え、腰を捻ると真の居合い。抜いた....
伯爵の釵」より 著者:泉鏡花
解いて、結目を胸に、烏帽子を背に掛けた。 それから伯爵の釵を抜いて、意気込んで一振り振ると、……黒髪の颯と捌けたのが烏帽子の金に裏透いて、さながら金屏風に名誉....
霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
います。忘れもしませぬ、それは私が三浦家へ嫁入りする折のことでございました、母は一振りの懐剣を私に手渡し、 『これは由緒ある御方から母が拝領の懐剣であるが、そな....
金太郎」より 著者:楠山正雄
うしても倒すことができませんでした。金太郎はおしまいにじれったくなって、からだを一振りうんと振りますと、うさぎも猿も鹿も熊もみんないっぺんにごろごろ、ごろごろ土....
加利福尼亜の宝島」より 著者:国枝史郎
た時火が薪木へ掛けられた。しかし神は非礼を受けず忽ち奇蹟を現わされた。忽然巨大な一振りの剣が雲の中から現われ出たが、まず継母の首を斬り、次いで壺皇子を束へ乗せ、....
血曼陀羅紙帳武士」より 著者:国枝史郎
、その鍛えた刀も残っておる、平家の重宝|小烏丸などはそれであり、我が家にもかつて一振り保存したことがあったと主張し、激論の果て、左衛門は「水掛け論は無用、この上....
沙漠の古都」より 著者:国枝史郎
してそれに改良を加えたりした。体を保護する武器としては拳銃一挺に弾薬若干とそして一振りの洋刀だけで他には何にも持っていない――虎の啼き声、豹の呻き、月影蒼い夜な....
どろぼう猫」より 著者:海若藍平
ちに犬は泥足の儘床の上に飛び上って、 「アレッ、助けて」 と言う猫を啣えるなり一振り二振りするうちに、猫はニャーとも言わずに死んでしまいました。 この騒ぎに....
」より 著者:犬田卯
えから……」 「どうしてまたそんなことに――」 田辺が訊ねると、森平は薬罐頭を一振りふりたて、漆黒の髯の中から唾をとばしつつ始めた。 「たまるもんかお前、あの....
三枚続」より 著者:泉鏡花
顕れたのであったから。 あまつさえ這個の怪禽は、月ある町中へつッ立つと斉しく、一振りふって首を伸して、高く蒼空を望んでまた一声、けい引おう! と叫んだ。 こ....