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一揖
「一揖〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
一揖の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「義血侠血」より 著者:泉鏡花
。車を下らんとて弁者は席を起《た》てり。甲と乙とは渠に向かいて慇懃《いんぎん》に
一揖《いちゆう》して、 「おかげでおもしろうございました」 「どうも旦那《だんな....
「神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
とか。油断はならぬ」と思ったからである。 「おおさようでござったか」陶器師は軽く
一揖したが、「そうとは存ぜずとんだ失礼、平にご用捨くだされい。実はな、拙者、庄八....
「中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
て進み入ったのは、白い鬚を垂れて紅い冠をかぶった老人で、朱鑠を仰いでうやうやしく
一揖した。 「貴様はなんの化け物だ」と、朱は叱り付けた。 「それがしは妖怪ではご....
「海神別荘」より 著者:泉鏡花
意を蒙りまするわ。 公子 ははは、(無邪気に笑う)失礼をしました。 博士、僧都、
一揖して廻廊より退場す。侍女等|慇懃に見送る。 少し窮屈であったげな。 侍女等親....
「火薬船」より 著者:海野十三
「おそれ入りますが、これにはいろいろ仔細がございまして……」 と、かの虎船長は
一揖して、きっと形をあらため、かたりだしたところによると、 「――この平靖号は、....
「夜叉ヶ池」より 著者:泉鏡花
せ莞爾と笑む。 時に月の光|煌々たり。 学円、高く一人|鐘楼に佇み、水に臨んで、
一揖し、合掌す。 月いよいよ明なり。 (――幕) 大正二(一九一三)年三月....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
が爺殿でござります。」 と姥は云って、微笑んだ。 小次郎法師は、寿くごとく、
一揖して、 「成程、尉殿だね。」と祝儀する。 「いえ、もう気ままものの碌でなしで....
「星女郎」より 著者:泉鏡花
換えながら、 「思いがけない処にござった。とんと心着きませんで、不調法。」 と
一揖して、 「面です……はははは面でござる。」 と緒を手首に、可恐い顔は俯向け....
「鴉片を喫む美少年」より 著者:国枝史郎
れこそ宋思芳だったのだ! その証拠にはその少年は、僕を見かけると微笑して、軽く
一揖したのだからね。 では先刻の支那美人は! グレーと同伴していた支那美人は?....
「仇討姉妹笠」より 著者:国枝史郎
聞こえ、すぐに庭番らしい小侍が、こなたへ走って来る姿が見えた。 「ご免」と頼母は
一揖してから、ツカツカと縁側へ出て行ったが、 「これ源兵衛何事じゃ※」と庭番の小....
「銀三十枚」より 著者:国枝史郎
として好まなかった。 紳士は外套の内|衣兜から、ゆっくり名刺入れを取り出した。
一揖すると名刺を出した。 「私、佐伯と申します。最近|欧羅巴から帰りましたもので....
「良夜」より 著者:饗庭篁村
の人も車夫も手持不沙汰なれば予は厚くその注意を謝し、今は我輩も帰るべしと巡査にも
一揖して月と水とに別れたり。この夜の清風明月、予の感情を強く動かして、終に文学を....
「五右衛門と新左」より 著者:国枝史郎
意の働き面白いな。手前を見たい。一服立てろ」 秀吉は端座した。 亭主、恭しく
一揖し、雲脚を立てて参らせた。 「これは、よく気が付いた。百座の茶、湯で満腹だ。....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
この室を辞して出た。その時、後を閉めようとして、ここに篤志の夜伽のあるのを知って
一揖した。 丹平すなわち、外から扉を押そうとすると、 「構いません、」と声をか....
「フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
少の器具、雑書、壁に引かけた帽子、外套、極めて簡素で単純な色彩であった。 私は
一揖して、タゴール老人の傍に坐った。話題は無論この島における膃肭獣の生活以外のも....