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一散
「一散〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
一散の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「浅草公園」より 著者:芥川竜之介
がつき、きょろきょろあたりを見まわしはじめる。それから向うに何か見つけ、その方へ
一散《いっさん》に走って行《ゆ》く。
8
父親らしい男....
「玄鶴山房」より 著者:芥川竜之介
「やあ、お爺さんがあんなことをしていらあ。」
武夫はこう囃《はや》しながら、
一散に茶の間へ走って行った。
六
一週間ばかりたった後、玄鶴は家族たちに囲....
「報恩記」より 著者:芥川竜之介
っと仕合せになりたかったのです。
わたしは浄厳寺《じょうごんじ》の裏へ来ると、
一散《いっさん》に甚内へ追いつきました。ここはずっと町家《ちょうか》のない土塀《....
「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
たのでございましょう。驚破《すわ》と云う間もなく、算《さん》を乱して、元来た方へ
一散に逃げ出してしまいました。が、盗人たちはそれには目もくれる気色《けしき》もな....
「少年」より 著者:芥川竜之介
中を一文字《いちもんじ》に敵の大将へ飛びかかった。敵の大将は身を躱《かわ》すと、
一散に陣地へ逃げこもうとした。保吉はそれへ追いすがった。と思うと石に躓《つまず》....
「馬の脚」より 著者:芥川竜之介
がこみ上げるのを感じた。この声を出しては大変である。俺は両耳へ手をやるが早いか、
一散《いっさん》にそこを逃げ出してしまった。……」
けれども運命は半三郎のため....
「或る女」より 著者:有島武郎
た。
と突然貞世が両|袖《そで》を顔にあてたと思うと、急に舞いの輸からそれて、
一散に玄関わきの六畳に駆け込んだ。六畳に達しないうちに痛ましくすすり泣く声が聞こ....
「高野聖」より 著者:泉鏡花
ると肩の上にも一筋。
思わず飛上って総身《そうしん》を震いながらこの大枝の下を
一散にかけぬけて、走りながらまず心覚えの奴だけは夢中《むちゅう》でもぎ取った。
....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
前の敷石の上に、ぺたんと坐っていた。狐饂飩の亭主は見えず。……後で知れたがそれは
一散に遁げた、と言う。 何を見て驚いたか、渠等は頭を掉って語らない。一人は緋の....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
云う声がうしろへ、ぱっと吹飛ばされる風に向って、砂塵の中へ、や、躍込むようにして
一散に駈けて返った。 後に知った、が、妾じゃない。お袖と云うその可愛いのは、宗....
「南地心中」より 著者:泉鏡花
店は、戸を寄せ掛けた明巣にござります。 処へ宗八、丸官閣下お使者といたし、車を
一散に乗着けまして、隣家の豆屋の女房立会い、戸を押開いて見ましたれば、いや、はや....
「化鳥」より 著者:泉鏡花
は嘘をおっしゃらない。 博士は頻に指ししていたが、口が利けないらしかった。で、
一散に駈けて来て、黙って小屋の前を通ろうとする。 「おじさんおじさん。」 と厳....
「母を尋ねて三千里」より 著者:アミーチスエドモンド・デ
した。たまたま二三人の旅人が馬にのってくるのにあうこともありましたが、風のように
一散にかけてゆきました。くる日もくる日もただ広い野原しか見えないのでみんなは、た....
「春昼後刻」より 著者:泉鏡花
ものであった。 南無三宝声がかかった。それ、言わぬことではない。 「…………」
一散に遁げもならず、立停まった渠は、馬の尾に油を塗って置いて、鷲掴みの掌を辷り抜....
「活人形」より 著者:泉鏡花
えば、早くもお藤を小脇に抱き、身を飜えして部屋を出でぬ。まことに分秒電火の働き、
一散に下階へ駈下りて、先刻忍びし勝手口より、衝と門内に遁れ出づれば、米利堅産種の....