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一文
「一文〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
一文の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
た。と思うと、それがまた礫《つぶて》を投げるように、落として来て、太郎の鼻の先を
一文字に、向こうの板庇《いたびさし》の下へはいる。
太郎は、歩きながら、思い出....
「犬と笛」より 著者:芥川竜之介
は空へ舞い上って、青雲《あおぐも》の向うにかくれている、遠い生駒山の峰の方へ、真
一文字に飛び始めました。
三
やがて髪長彦《かみながひこ》....
「開化の良人」より 著者:芥川竜之介
のかすかな夕明りを揺《ゆらめ》かしている川波の空に、一反《ひとそ》り反《そ》った
一文字を黒々とひき渡して、その上を通る車馬の影が、早くも水靄《すいあい》にぼやけ....
「竜」より 著者:芥川竜之介
》いだと見てあれば、たちまちその瘤がふっつと裂けて、中から一匹の黒竜が雲を捲いて
一文字に昇天したと云う話もござる。瘤の中にさえ竜が居たなら、ましてこれほどの池の....
「三右衛門の罪」より 著者:芥川竜之介
立たせ、清八、鷹をと御意ありしかば、清八はここぞと富士司を放つに、鷹はたちまち真
一文字《まいちもんじ》に重玄の天額をかい掴《つか》みぬ。清八は得たりと勇みをなし....
「仙人」より 著者:芥川竜之介
か? それは何より難有《ありがと》うございます。」
「その代り向う二十年の間は、
一文《いちもん》も御給金はやらないからね。」
「はい。はい。承知いたしました。」....
「少年」より 著者:芥川竜之介
煙は見る見る山をなし、敵の砲弾は雨のように彼等のまわりへ爆発した。保吉はその中を
一文字《いちもんじ》に敵の大将へ飛びかかった。敵の大将は身を躱《かわ》すと、一散....
「侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
又
民衆は大義を信ずるものである。が、政治的天才は常に大義そのものには
一文の銭をも抛《なげう》たないものである。唯民衆を支配する為には大義の仮面を用い....
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
出ました。するとその外へ出た所を、追いすがるごとくさっと来て、おやと思う鼻の先へ
一文字に舞い上ったのは、今度も黒天鵞絨《くろびろうど》の翅の上に、青い粉を刷いた....
「或る女」より 著者:有島武郎
響いたのは、男がその好意に応じてほほえみかわす様子のないという事だった。実際男の
一文字眉《いちもんじまゆ》は深くひそんで、その両眼はひときわ鋭さを増して見えた。....
「或る女」より 著者:有島武郎
んと匙《さじ》とを食卓にかえして、前だれの下に隠してしまった。上《うわ》まぶたの
一文字になった目をきりっと据えてはたと貞世をにらみつけた。葉子の目には貞世のほか....
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
たい事だった。戸外では赤坊がまだ泣きやんでいなかった。
「俺《お》ら銭《ぜに》こ
一文も持たねえからちょっぴり借りたいだが」
赤坊の事を思うと、急に小銭がほしく....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
に波打ちぎわに出て見ると、やや緑色を帯びた青空のはるか遠くの地平線高く、幔幕を真
一文字に張ったような雪雲の堆積に日がさして、まんべんなくばら色に輝いている。なん....
「杜子春」より 著者:芥川竜之介
てさえ、挨拶一つして行きません。ましてとうとう三年目の春、又杜子春が以前の通り、
一文無しになって見ると、広い洛陽の都の中にも、彼に宿を貸そうという家は、一軒もな....
「スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
ったガンパウダーのやせほそった脇腹を滅多打ちにした。馬は、鼻息もあらあらしく、真
一文字に走りだした。ところが、橋のまぎわまで来ると、はたと立ちどまり、不意をくら....