一文にもならない[語句情報] »
一文にもならない
「一文にもならない〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
一文にもならないの前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「吾輩は猫である」より 著者:夏目漱石
のに吹聴《ふいちょう》していた。ずるい奴だ。桐はあるが吾輩及び主人家族にとっては
一文にもならない桐である。玉を抱《いだ》いて罪ありと云う古語があるそうだが、これ....
「野分」より 著者:夏目漱石
気である。 「だって、楽で御金の取れる口は断っておしまいなすって、忙がしくって、
一文にもならない事ばかりなさるんですもの、誰だって酔興《すいきょう》と思いますわ....
「新版 放浪記」より 著者:林芙美子
ろうか? 詩は印刷機械のようにいくつでも書ける。只、むやみに書けると云うだけだ。
一文にもならない。活字にもならない。そのくせ、何かをモウレツに書きたい。心がその....
「昔の火事」より 著者:宮本百合子
からには、うまい話なら一丁のっていない筈はない。本当のことなんか云うものか。若し
一文にもならないようなことなら、あんなに皆うれしそうな光った眼をする筈はありっこ....
「雪の夜」より 著者:小林多喜二
を時々さげて、立っている人の方を見ながら言った。「こうやってるんですけど、今晩は
一文にもならないんですよ――この子が……」 誰かが金を投げてやった。眼の悪い年....
「クリスマス・カロル」より 著者:ディケンズチャールズ
。しかしそれもほんの僅かの間ですよ。僅かの間経てば、貴方はじきにそんな想い出は、
一文にもならない夢として、喜んで抛棄しておしまいになるでしょうよ。まああんな夢か....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
機嫌《きげん》はよかった。そして、いろんなことをしゃべりながら、よく笑いながら、
一文にもならないのに歌をうたいながら、元気に音階を組み立てたり、帽子を繕ったりし....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
にほめたて、若い作曲家の作品を極度に貶《けな》して、なんらの価値もなく鐚《びた》
一文にもならないものだと断言した。 「ではなぜそれを採用したんですか。」 「思い....
「淪落の青春」より 著者:坂口安吾
奥からでは運賃に食われるから、亭々たる大木が無限にあっても宝の山をいだきながら、
一文にもならない。戦争中は挺身隊だの学徒隊だのというのが無賃で運送に来てくれたか....
「家なき子」より 著者:楠山正雄
ことを種に、しこたませしめるずるい連中もあるのだが、おまえさんのご亭主ときては、
一文にもならないのだからな」 「まったく運が悪い」と男はこのことばをくり返しなが....
「影のない犯人」より 著者:坂口安吾
神蔭流の玄斎先生であった。 御承知の如くに、敗戦後は剣術が禁止されて、神蔭流が
一文にもならないばかりか、玄斎その人が民主々義の怨敵の如くに、子供も女房も先生を....
「明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
ることが出来ないから、面白いことを教えてやる。財産を分けてやるというが、実は誰も
一文にもならない。おまけに銘々が憎み合って仲がわるくなるだけだ」 左近はそこま....
「選挙漫談」より 著者:黒島伝治
彼等は遊んでいられる身分ではない。丁度、秋蚕の時分だし、畑の仕事もある。そこで、
一文にもならないのならば、彼等は棄権する。二里も三里もを往って帰れば半日はつぶし....
「顎十郎捕物帳」より 著者:久生十蘭
、馬鹿々々しいな?」 「だって、そうじゃありませんか。小判と見せて、実は木の葉。
一文にもならないのに、豊島くんだりまで狸をかついで行くテはないでしょう」 とど....