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一旗
「一旗〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
一旗の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「街頭から見た新東京の裏面」より 著者:杉山萠円
あった。しかも一度この「河向う」へ落ちて来た江戸ッ子は、二度と再びこの河を越えて
一旗揚げた例がない……「河向う」という言葉と「絶望」という言葉とは、場合によって....
「食魔」より 著者:岡本かの子
らの因縁が深いだけに、それを考えに上すことは苦しかった。この撥ぜ開けた巨都の中で
一旗揚げる慾望に燃え盛って来た鼈四郎に取り、親友でこそあれ、他人の伯母さんを伯母....
「河明り」より 著者:岡本かの子
取った。 母は夫と共に日露戦役後の世間の好景気につれ、東京の下町で夫婦共稼ぎの
一旗上げるつもりで上京して来た。そういう夫婦の例にままあるとおり無理算段をして出....
「わが町」より 著者:織田作之助
遠いとこイ出なあかんネやぜ。――お初はわいが預っててやるさかい、マニラへ行って、
一旗あげて来い」 「…………」 二度焼け出されたようなものだと、新太郎が首垂れ....
「西洋人情話 英国孝子ジョージスミス之伝」より 著者:三遊亭円朝
ア旦那どんも手を出したが皆な損ばかりして、段々|身代を悪くしたんだア、するともう
一旗揚げねえばなんねえと云って、田地も家も蔵も抵当とやらにして三千円の金を借り、....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
正香も今じゃ日陰の身でさ。でも、あの先生のことだから、京都の同志と呼応して伊那で
一旗あげるなんて、なかなか黙ってはいられない人なんですね。とにかく、わたしが出か....
「家」より 著者:島崎藤村
行く積りらしい……」こう正太は言い紛して、委しいことを母に知らせまいとした。 「
一旗挙げて来る気かいナア」 と母が力を落したように言ったので、思わず豊世は胸が....
「仮装人物」より 著者:徳田秋声
三万円|拐帯して、留守中の家族と乾分の手当や、のっぴきならない負債の始末をして、
一旗揚げるつもりで上海へ走るところであった。当分|潜っていて、足場が出来次第後妻....
「新釈諸国噺」より 著者:太宰治
い、死んだお母さんもよろこぶだろう、お父さんの事は心配するな、わしはこれからまた
一旗挙げるのだ、承知か、おお、承知してくれるか、女三界に家なし、どこにいたって駄....
「踊る地平線」より 著者:谷譲次
帰るか。こいつも気が利かねえな。』 『そいつも気がきかないです。何とかして巴里で
一旗上げたいと思うんですが――故里にあおふくろもいますし――。』 『どこかね? ....
「ある女の生涯」より 著者:島崎藤村
旦那くらい好い性質の人で、旦那くらい又、女のことに弱い人もめずらしかった、旦那が
一旗揚げると言って、この地方から東京に出て家を持ったのは、あれは旦那が二十代に当....
「現代忍術伝」より 著者:坂口安吾
サルトルは雲隠才蔵をよびだして、 「雲さんや。主人持ちは、つらいねえ。どうだい。
一旗あげたいと思わないか」 「チェッ。おだてるない。お前みたいな忠勤ヅラはアイソ....
「名人地獄」より 著者:国枝史郎
」 「はい、有難う存じます。実は私は思いたって、故郷を出て海へ来たからには、海で
一旗上げるまでは、追分の土は踏むまいと、心をきめておりましたが、そんな事があって....
「安吾の新日本地理」より 著者:坂口安吾
中央の軍略政略に参与したこともあるだけに、如水の方がアカ抜けているが、ドサクサの
一旗組というものは所詮その根性の本質に於て泥くさく、そのドサクサを狙うや概ね見透....
「安吾人生案内」より 著者:坂口安吾
。 糸へん金へんの現役紳士とても待望の論理は同じことである。あまねくドサクサの
一旗をねらう市井の戦争待望組も論理に変りはない。 しかし都会地の待望組は戦争の....