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一晩中
「一晩中〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
一晩中の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「奇遇」より 著者:芥川竜之介
《ぎ》を聴《き》きに行く事もある。博《はく》を打って暮らす事もある。あるいはまた
一晩中、秦淮《しんわい》あたりの酒家《しゅか》の卓子《たくし》に、酒を飲み明かす....
「桃太郎」より 著者:芥川竜之介
りも享楽《きょうらく》的に出来上った種族らしい。瘤《こぶ》取りの話に出て来る鬼は
一晩中踊りを踊っている。一寸法師《いっすんぼうし》の話に出てくる鬼も一身の危険を....
「毛利先生」より 著者:芥川竜之介
やと》ってくれないんだって云いますから、大方暇つぶしに来るんでしょう。珈琲一杯で
一晩中、坐りこまれるんですから、こっちじゃあんまり難有《ありがた》くもありません....
「青年と死」より 著者:芥川竜之介
ざわりはするわ。
――はじめは怖《こわ》かったわね。
――私《あたし》なんか
一晩中ふるえていたわ。
――私もよ。
――そうすると「おふるえでない」って云....
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
って考えたのでは、朧《おぼろ》げな記憶さえ残っていません。が、ともかくも自分には
一晩中とも思われるほど、長い長い間続いた後で、とうとうお敏は苦心の甲斐もなく、あ....
「野菊の墓」より 著者:伊藤左千夫
。そのまま民子が泣きやんでしまえば何のこともなく済んだであろうが、民子はとうとう
一晩中泣きとおしたので翌朝は眼を赤くして居た。母も夜時々眼をさましてみると、民子....
「山と雪の日記」より 著者:板倉勝宣
。顔も包んだ。手袋をとると烈しい寒さが分る。パンを出し闇の中で頬ばりながら、さあ
一晩中歩いてもいいと思った。もどって道らしいところを左へ行くと「孝ちゃん滝あるよ....
「かんかん虫」より 著者:有島武郎
。 そうしたあんばいでもじもじする中に暁方近くなる。夢も見た事の無え己れにゃ、
一晩中ぽかんと眼球をむいて居る苦しみったら無えや。何うしてくれようと思案の果てに....
「太平洋魔城」より 著者:海野十三
した。 闇が身近にせまって来ると、石少年は、心細くなったのか、 「先生、わたし
一晩中、泳ぎつづけても、大丈夫あるが、夜、何だかこわいよ」 といいだした。 「....
「ある男の堕落」より 著者:伊藤野枝
あるようだ。」 「ええ。」 私も仕方なしに、泊ることにしました。 その夜私は
一晩中、うすい蒲団の中でゴロ寝の窮屈さと、子供を寒くないように窮屈でないように眠....
「売春婦リゼット」より 著者:岡本かの子
しくもなった。疲れが一時に体から這い出した。 マギイ婆さんは鋸楽師のおいぼれは
一晩中こごんで肝臓を庇っていた。....
「石塀幽霊」より 著者:大阪圭吉
で新米巡査は口を切った。「昨晩は、僕だって少しも眠れなかったです。あれから僕は、
一晩中飲んだくれのチンドン屋を探し廻ったんですよ。その結果、これはまだ内密の話な....
「西航日録」より 著者:井上円了
声破客眠。 (風は寒く、人影もまれに、ただ電灯の連なっているのを見るだけである。
一晩中船舶が入港しては出航してゆき、汽笛の音が旅客の眠りをさまたげるのである。)....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
光底影、馬塞埠頭船、終夜忙。 (電灯の光のもとに影がつくられ、馬塞の埠頭の船は、
一晩中いそがしく往来し、汽笛の音が旅客の眠りをさまたげるのである。) 日拉達....
「私の履歴書」より 著者:浅沼稲次郎
とする「縦横クラブ」であった。私は事件後も縦横クラブ員につかまって、その合宿所に
一晩中監禁され、打つ、ける、なぐる、ほとんど人事不省になるリンチを受けた。こうし....