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「一毛〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

一毛の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
ろまん灯籠」より 著者:太宰治
、大嘘をさえ、まぜている。けれども、大体は、あの入江の家庭の姿を、写したものだ。一毛《いちもう》に於いて差異はあっても、九牛《きゅうぎゅう》に於いては、リアルで....
政談月の鏡」より 著者:三遊亭円朝
わたくし》は斯《か》く零落を致して裏家《うらや》住いはして居っても人様の物を一厘一毛でも掠《かす》めるような根性は有りません、殊《こと》に御当家様から多分に此の....
吾輩は猫である」より 著者:夏目漱石
のの見始《みはじめ》であろう。この時妙なものだと思った感じが今でも残っている。第一毛をもって装飾されべきはずの顔がつるつるしてまるで薬缶《やかん》だ。その後《ご....
街頭から見た新東京の裏面」より 著者:杉山萠円
学生が、下宿屋や又は預けられ先を出る時に、学校の制帽を冠って出るものは殆ど九牛が一毛と云ってもいい位である。学校に行く時も、散歩に行く時も通じてそうなので、その....
巌流島」より 著者:直木三十五
に吾伝の間積りと云うは位《くらい》拍子に乗ずるを云う也。敵に向って其《その》間に一毛を|不容《いれず》、其|危亡《きぼう》を顧《かえりみ》ず、速く乗て殺活し、当....
灰燼十万巻」より 著者:内田魯庵
のように一つに固まって真黒に焼けて了った。世界の大美術書の総数に比べたなら九牛の一毛どころか百牛の一毛にも当るまいが、シカモ世界の文献に乏しい日本では此の百牛の....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
かす》めて貯えた金銀が唸《うな》るほどあるくせに、三千両は九牛《きゅうぎゅう》の一毛《いちもう》。のう御同役、遠いところへ隠してあるならば、なにも古金の耳を揃え....
開扉一妖帖」より 著者:泉鏡花
ここも一種の鉄枴ヶ峰である。あまつさえ、目に爽かな、敷波の松、白妙の渚どころか、一毛の青いものさえない。……草も木も影もない。まだ、それでも、一階、二階、はッは....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
、我々の粉本の中に納められているものは……何種あったか、ちょっと忘れたが、九牛の一毛だ」 その時、夜の外の窓口に、あわただしい人声があって、 「番所の先生、先....
雪の宿り」より 著者:神西清
叱る。京の滅びなど此の眼で見て来たことは、恐らくはこの度の大転変の現われの九牛の一毛にしか過ぎまい。兵乱はようやく京を離れて、分国諸領に波及しようとする兆しが見....
安吾の新日本地理」より 著者:坂口安吾
には相違ないが、新潟や秋田の積雪の甚しさも論外なのだろう。冷害や水害や、辛うじて一毛作しかできないという風土の貧しさや暗さは、雪国の農民住宅にも、町の庶民住宅に....
食べもの」より 著者:佐藤垢石
とだ。 だからといって、私の百坪前後の野菜を根こそぎ舁ぎだしたところで、九牛の一毛にも値せぬ。さらに多くの野菜を都会人に食べさせたいと思えば、もっともっと農民....
たぬき汁」より 著者:佐藤垢石
る。この事実は、館林の茂林寺にある文福茶釜の伝説などによったものではなく、前橋市一毛町の毛皮商坂本屋の取扱高の統計によるのである。坂本屋の話によると、近くは秩父....
二葉亭余談」より 著者:内田魯庵
りに内気であった、余りに謙遜であった、かつ余りに潔癖であった。切めて山本伯の九牛一毛なりとも功名心があり、粘着力があり、利慾心があり、かつその上に今少し鉄面皮で....
仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
ろ、人間の顔は眼が横につき鼻が竪についている、というような確実な正常な認識を得て一毛だも動ぜぬ人生の鑑識を備えます。これは大した修業の結果です。しかしながら、こ....