一気[語句情報] »
一気
「一気〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
一気の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「文章」より 著者:芥川竜之介
机に向うと、インク壺へペンを突《つっ》こむが早いか、試験用紙のフウルス・カップへ
一気に弔辞を書きはじめた。
× × ....
「戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
にも、円行燈のかすかな光が、今は少しも苦にならない。筆はおのずから勢いを生じて、
一気に紙の上をすべりはじめる。彼は神人と相搏《あいう》つような態度で、ほとんど必....
「十円札」より 著者:芥川竜之介
黙示《もくじ》でも下《くだ》ったように、「これはこうでしょう」と呼びかけながら、
一気にその個所を解決した。保吉はこの芝居のために、――この語学的天才よりもむしろ....
「葱」より 著者:芥川竜之介
おれは締切日を明日《みょうにち》に控えた今夜、
一気|呵成《かせい》にこの小説を書こうと思う。いや、書こうと思うのではない。書か....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
手に岩を抑《おさ》えて、しばらく呼吸を計っていたが、たちまちうんと力を入れると、
一気に腹まで抱え上げた。最後にその手をさし換えてから、見る見る内にまた肩まで物も....
「或る女」より 著者:有島武郎
した。その香をかぐと、ともするとまだ外国にいるのではないかと思われるような旅心が
一気にくだけて、自分はもう確かに日本の土の上にいるのだという事がしっかり思わされ....
「卑怯者」より 著者:有島武郎
まってあって、抜きさしのできる三段の棚の上に乗せられたその瓶が、傾斜になった箱を
一気にすべり落ちようとするので、扉はことのほかの重みに押されているらしい。それを....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
らねずみ色に、ねずみ色から墨色にぼかされた大きな紙を目の前にかけて、上から下へと
一気に視線を落として行く時に感ずるような速さで、昼の光は夜の闇に変わって行こうと....
「親子」より 著者:有島武郎
ゃ……しかしそれじゃ全く開墾費の金利にも廻りませんからなあ」 と言ったが、父は
一気にせきこんで、 「しかし現在、そうした売買になってるのだから。あなた今開墾費....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
し易い末流の道徳も、謂わばそこに仮りの根ざしを持つものに相違ない。不完全な人間は
一気にその普遍不易の道徳の根元を把握しがたい為めに、模索の結果として誤ってその一....
「女客」より 著者:泉鏡花
について、 「帰らないでおきましょうか。」 五 我を忘れてお民は
一気に、思い切っていいかけた、言の下に、あわれ水ならぬ灰にさえ、かず書くよりも果....
「神鷺之巻」より 著者:泉鏡花
から、毛が落ちているといけませんわ。」 「満々と下さい。ありがたい、これは冷い。
一気には舌が縮みますね。」 とぐっと飲み、 「甘露が五臓へ沁みます。」 と清....
「スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
きどきしはじめた。だが、彼は大決断をふるいおこし、馬のあばらを十回も蹴りつけて、
一気に橋を駈けわたろうとした。ところが、このつむじ曲りの耄碌馬は、前に進むどころ....
「北海道に就いての印象」より 著者:有島武郎
行こうとした跡は、私の学生時分にさえ所在に窺い知ることが出来た。例えば大木の根を
一気に抜き取る蒸気抜根機が、その成効力の余りに偉大な為めに、使い処がなくて、※び....
「大利根の大物釣」より 著者:石井研堂
せては引かれ、数回くり返せども、敵の力は、少しも衰えず。其の引き去るに当りては、
一気直に海洋まで逸し去らんとするものの如く、綸の弾力部を全く引き尽して、また余力....