一渡り[語句情報] » 一渡り

「一渡り〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

一渡りの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
勲章を貰う話」より 著者:菊池寛
た。 イワノウィッチは、いちばん左翼にいて、機関銃隊を指揮していた。敵の砲弾は一渡り戦列を荒すと、機関銃隊を最後の目標とした。操縦者がみるみるうちに倒れた。イ....
野菊の墓」より 著者:伊藤左千夫
らしている。十五日がこの村の祭で明日は宵祭という訣故《わけゆえ》、野の仕事も今日一渡り極《きま》りをつけねばならぬ所から、家中手分けをして野へ出ることになった。....
指と指環」より 著者:佐左木俊郎
して、鳶色《とびいろ》のソフトを眼深《まぶか》に引き下げていた。そして、室の中を一渡り見渡してから、彼は隅のテーブルへ行って身体《からだ》を投げ出した。 「いら....
水害雑録」より 著者:伊藤左千夫
ろりとした汚い悪水が、身動きもせず、ひしひしと家一ぱいに這入っている。自分はなお一渡り奥の方まで一見しようと、ランプに手を掛けたら、どうかした拍子に火は消えてし....
人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
イヤモンドだ」 そこまで言うと、カムポスは睨め廻すような目で、あたりをぐるっと一渡りみた。 「さあ、そこまで言や、納得がついたろう。その水棲人が、広茫千キロ....
神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
の戸が開いて一人の大男が現われた。首斬り役の万兵衛である。巨大な斧を提げている。一渡り部屋の中を見廻わしたが、戸口の方へ顔を向けると、 「うまく行った。……はい....
白金之絵図」より 著者:泉鏡花
たろう。山の爺が雲から覗く。眼界|濶然として目黒に豁け、大崎に伸び、伊皿子かけて一渡り麻布を望む。烏は鴎が浮いたよう、遠近の森は晴れた島、目近き雷神の一本の大栂....
計略二重戦」より 著者:甲賀三郎
は、閣下、仁科は重要書類を奪回して参ります」 少佐は参謀総長以下|並居る上官に一渡り敬礼して、元気よく部屋を出ました。 猫と鼠 夜は深々と更けて、麹町....
開運の鼓」より 著者:国枝史郎
と存ぜられ申す。そこにて天下を窺わせられい」 実にもと思う武士達の顔をズラリと一渡り見廻してから彼は手綱を掻い繰った。馬は粛々と歩を運ぶ。危険は瞬間に去ったの....
南蛮秘話森右近丸」より 著者:国枝史郎
、隠くされてあるかもしれません。どれ」と云うと右近丸は、ツカツカ書棚の前へ行き、一渡り書物を眺めてみた。が書物の数は非常に多く、いずれも整然と並べてあり、一々取....
銀三十枚」より 著者:国枝史郎
逆さにした。全部の白金を吐き出した。 「幾枚あるの? 本物は?」 23 商人は一渡り眼を通した。上唇を綻ばせた。 「みんな贋金でございますよ」 「お帰り!」と....
善悪両面鼠小僧」より 著者:国枝史郎
ある。 「さあさあ今日は無礼講、芸ある者は遠慮なく芸を見せてくれるよう」 酒が一渡り廻った頃、この乃信姫は仰せられた。 「さあさあお許しが出でました。三味線、....
名人地獄」より 著者:国枝史郎
から洩れたかと思うと、すぐムックリと起き上がった。別にキョロキョロするでもなく、一渡り四辺を見廻したが、周作の姿へ眼を止めると、「参った!」といって手を突いた。....
剣侠」より 著者:国枝史郎
ければならなかった。 牧馬の話から名所旧蹟の話、諸国の風俗人情の話、そんな話が一渡り済んで、ちょっと話が途絶えた時、何気ない口調で多四郎は云った。 「秩父の郡....
娘煙術師」より 著者:国枝史郎
溜っていて、月が接吻けているからであろう。紋也は少しく距離を置いて、家のようすを一渡り見た。黒い板塀がかかっていて、その上へ家の二階だけが、月明の空を押し分けて....