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一点
「一点〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
一点の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
に耳にはいるのは、すじかいに声を飛ばすほととぎすのほかに、何もない。もしその中に
一点でも、人なつかしい火がゆらめいて、かすかなものの声が聞こえるとすれば、それは....
「戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
琴に当りちらしているのであろう。
「第一馬琴の書くものは、ほんの筆先《ふでさき》
一点張りでげす。まるで腹には、何にもありやせん。あればまず寺子屋の師匠でも言いそ....
「影」より 著者:芥川竜之介
廊下には、息のつまるような暗闇が、一面にあたりを封じていた。その中《うち》にただ
一点、かすかな明りが見えるのは、戸の向うの電燈の光が、鍵穴《かぎあな》を洩れるそ....
「黒衣聖母」より 著者:芥川竜之介
く》らしい。その上顔は美しい牙彫《げぼり》で、しかも唇には珊瑚《さんご》のような
一点の朱まで加えてある。……
私は黙って腕を組んだまま、しばらくはこの黒衣聖母....
「寒さ」より 著者:芥川竜之介
らかた今は散じたらしかった。ただ、シグナルの柱の下には鉄道工夫の焚火《たきび》が
一点、黄いろい炎《ほのお》を動かしていた。
保吉はその遠い焚火に何か同情に似た....
「侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
うすれば又新しい星は続々と其処に生まれるのである。
宇宙の大に比べれば、太陽も
一点の燐火《りんか》に過ぎない。況《いわん》や我我の地球をやである。しかし遠い宇....
「保吉の手帳から」より 著者:芥川竜之介
こんにち》もなおこの勇ましい守衛の秘密を看破《かんぱ》したことと信じている。あの
一点のマッチの火は保吉のためにばかり擦《す》られたのではない。実に大浦の武士道を....
「或る女」より 著者:有島武郎
りが行くようにはしたくないで、打ち明けないのだ。どこに行っても知らない知らないで
一点張りに通すがいいぜ。……二度と聞きたいとせがんでみろ、おれはうそほんなしにお....
「星座」より 著者:有島武郎
光に慣れていた眼は、そこに瞳を痛くする暗闇を見出だすばかりだった。その暗闇のある
一点に、見つづけていた蝿が小さく金剛石のように光っていた。
「学校は休んだの」
....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
かくの如き階級を経て最も明かに自己を表現する。 けれども私達の多くはこの大事な
一点を屡※顧みないような生活をしてはいないか。ジェームスは古来色々に分派した凡て....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
勝てないものだから、ガリレオの説は犯すべからざる聖書の教えと矛盾するものだという
一点張りで反対した。 ガリレオが公然とコペルニクスの信奉者であるということを告....
「最終戦争論」より 著者:石原莞爾
され、土地を作戦目標とする必要などは、なくなります。 敵の大将は、ナポレオンが
一点に兵を集めて、しゃにむに突進して来ると、そんなことは無理じゃないか、乱暴な話....
「霊訓」より 著者:浅野和三郎
比すれば、この章に説かれて居る所は、まさに天地の相違で、穏健、周到、着実、どこに
一点の無理もゴマカシもない。これが一般民衆によりて味読さるるに至った時に、恐らく....
「歯車」より 著者:芥川竜之介
いていた。が、暗のある以上は光もあると信じていた。僕等の論理の異るのは唯こう云う
一点だけだった。しかしそれは少くとも僕には越えられない溝に違いなかった。…… 「....
「瘠我慢の説」より 著者:石河幹明
の他の物産に乏しからず、随て案外にも外国品を需用するの力あるにぞ、外国人も貿易の
一点に注意することと為りたれども、彼等の見るところはただこれ一個の貿易国として単....