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一物
「一物〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
一物の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「星座」より 著者:有島武郎
て、灯影の漏るるところたまたま我が小屋あるのみ。彼行くに所なくして、あえてこの無
一物裡に
一物を庶幾《しょき》し来れるにあらざらんや。庭辺一片の食なし。かりに彼を....
「義血侠血」より 著者:泉鏡花
《おも》い出でて、しばしはその恨めしき地を去るに忍びざりき。 渠は再び草の上に
一物《あるもの》を見出だせり。近づきてとくと視れば、浅葱地《あさぎじ》に白く七宝....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
構えて、煙草の煙を長々と続ける工合が、どうもまだ話の切目ではなさそうで、これから
一物あるらしい、底の方の擽ったさに、礼之進は、日一日|歩行廻る、ほとぼりの冷めや....
「クララの出家」より 著者:有島武郎
の中にありながら、凡てのものが夢のように見る見る彼女から離れて行くのを感じた。無
一物な清浄な世界にクララの魂だけが唯一つ感激に震えて燃えていた。死を宣告される前....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
する円板は宇宙空間から輻射を受け取るために絶えず拡大される。今外部の宇宙空間から
一物体がこの旋転する板中に陥入したとすれば、そこに二つの場合が起り得る。もしこの....
「隣の嫁」より 著者:伊藤左千夫
能を発揮しながら、またよく自然の統一に参合している。省作はわれ自らもまた自然中の
一物に加わり、その大いなる力に同化せられ、その力の一端がわが肉体にもわが精神にも....
「海の使者」より 著者:泉鏡花
ば、水なりに透き通るのは、是なん、別のものではない、虎斑の海月である。 生ある
一物、不思議はないが、いや、快く戯れる。自在に動く。……が、底ともなく、中ほどと....
「星女郎」より 著者:泉鏡花
にいたせ、飛んだ目には逢いとうござらん心得から、用心のために思いつきましたはこの
一物、な、御覧の通り、古くから御堂の額面に飾ってござります獅噛面、――待て待て対....
「霊訓」より 著者:浅野和三郎
或る程度、人間的|誤謬によって歪められない訳には行かぬ。いかなる啓示も、絶対的純
一物でない。かるが故に、或る時代に現れたる啓示が他の時代に現れたる啓示と、全然符....
「私の活動写真傍観史」より 著者:伊丹万作
でん屋を処分したが、あとにまだ借金が残つた。 かくて私はついにマイナスつきの無
一物になつた。そして夏から秋まで、友だちの厄介になつたりしながらぶらぶらしていた....
「妖怪学」より 著者:井上円了
は、内外両界の間に起こる原因にして、いかなるものも多少の時間、手を空中に浮かべて
一物を支えんとするときは、必ず手に動揺を生ずるを見る。けだし、活動物はその一部分....
「妖怪学一斑」より 著者:井上円了
の間に判然たる区画があるべきはずである。しかるに、その区別が一定しない以上は、同
一物の上に二個の区別の存すべき道理がない。必ず、いずれかその一方に帰着しなければ....
「迷信解」より 著者:井上円了
の上に魔術を施すに相違なかるべし、よろしく早く去りて身を全うするにしかずと思い、
一物を猟せずしてむなしく家に帰りたり。そのことたちまち伝わりて村内の大評判となり....
「西航日録」より 著者:井上円了
方は荒原が海よりもひろく、あたかも陸上における太平洋のようであった。) 万里長途
一物無、唯看春草満平蕪、車窓認得人烟密、汽笛声中入露都。 (万里をゆく道は
一物と....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
五日、晴れ。暁来、暑気大いに加わる。風静かに波穏やかなるも、シナ海のひろき、終日
一物の目に触るるなし。 茫茫支那海、唯見水連遠、満帆三伏風、 日沈暑威減、風転晩....