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「一瓢〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

一瓢の前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
倫敦消息」より 著者:夏目漱石
。それで少々得意になったので外国へ行っても金が少なくっても一箪《いったん》の食|一瓢《いっぴょう》の飲然と呑気《のんき》に洒落《しゃらく》にまた沈着に暮されると....
吾輩は猫である」より 著者:夏目漱石
ぬと言わず語らず物思いの間《あいだ》に寝転んでいて、この日や天気晴朗とくると必ず一瓢を携えて墨堤に遊ぶ連中《れんじゅう》を云うんです」「そんな連中があるでしょう....
高島異誌」より 著者:国枝史郎
の風――郊外の散策に相応い、斯う云ったような季節になったのである。 で彼は或日一瓢をたずさえ、湖水の岸に添い乍ら小坂の観音の方へ彷徨って行った。 目指す境内....
十二支考」より 著者:南方熊楠
なく並び臥す、一同飛んだ物が出来たとますます『最勝』を讃《ほ》む。法蓮は変な事と一瓢を破り見れば中に粒大きく雪ほど白い精米五斗あり、他を剖いて見るに毎瓢同様なり....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
配はなし。米友を促して、渡し場から莚《むしろ》を借り、それを河原の真中に敷いて、一瓢《いっぴょう》を中央に据え、荷物を左右に並べて、東山《とうざん》のほとりより....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
を焚きさえすれば口へ運べるようにととのえて持って来ているらしい。 おまけに彼は一瓢《いっぴょう》をも取り出して、そこへ並べてあるのは、松茸の土瓶蒸だけでなくて....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
を試み出しました。 「コノ日、天気晴朗ニシテ、空ニ一点ノ雲無ク、乃《すなは》チ一瓢ヲ携ヘテ柴門《さいもん》ヲ出ヅ……」 明治のある時代に於て、小学校の課目....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
ると、急に大きなあくびとのびを一緒にして、カラリと筆を投げ捨てるが早いか、座右の一瓢《いっぴょう》を取り上げて、そそくさと下駄をつっかけてしまいました。どこへ行....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
です。二人ともに手頃の荷物を振分けにして肩にひっかけ、別に道庵は首に紐をかけて、一瓢《いっぴょう》を右の手で持ちそえている。米友は独流の杖槍。 「さて米友様、永....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
るという手がかりがあって、それから問いただしてみると、それは多分|件《くだん》の一瓢を携えて寝覚《ねざめ》の床《とこ》へおいでになったのだろうとのことです。 「....
平賀源内捕物帳」より 著者:久生十蘭
、二階の座敷を木屑だらけにして櫛を梳かせ、何とかこいつを流行らせようというので、一瓢《いっぴょう》を橋|渡《わたし》にして、吉原丁字屋《よしわらちょうじや》の雛....
孔子」より 著者:和辻哲郎
する愛情を表現して余蘊がない。また同じ篇に、 子曰く、賢なるかな回や、一箪の食、一瓢の飲、陋巷にあり。人は其の憂いに堪えざらんも、回は其の楽しみを改めず。賢なる....
随筆 宮本武蔵」より 著者:吉川英治
。 といって、権門に媚びる徒輩の滔々として横行する澆季を歎じているが、一箪の食一瓢の飲に満ち足りる沢庵にとって、公界は或いは苦界と見えたかも知れない。 (沢庵....