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一画
「一画〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
一画の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「白蟻」より 著者:小栗虫太郎
に高い望楼のある母屋を置いて、小さな五つあまりの棟がそれを取りかこみ、さらにその
一画を白壁の土塀が繞《めぐ》っていた。だがもし、その情景を、烈々たる陽盛りのもと....
「蠅男」より 著者:海野十三
「じゃあ、どっちも捕える見込み薄ですね」 「しかし儂の考えでは、二人ともまだこの
一画のなかにひそんどる。それは確かや。この
一画ぐらい隠れやすいところはないんや。....
「神秘昆虫館」より 著者:国枝史郎
この頃のことである。全然別の方角で、別の事件が起こっていた。 ここは赤坂青山の
一画、そこに一宇の大屋敷がある。大大名の下屋敷らしい。宏壮な規模、厳重な構え、巡....
「生死卍巴」より 著者:国枝史郎
けながら、下谷の方へ歩き出した。そっちに屋敷があるからである。 ここは小石川の
一画で、大名屋敷や旗本屋敷などが、整然として並んでいて、人の通りが極めて少ない。....
「十二神貝十郎手柄話」より 著者:国枝史郎
男が、姿を現わして走って来た。 (しまった!)――で京一郎は逃げた。ここは京橋の
一画で、本通りから離れた小路であった。両親に内証で町道場へ通い、一刀流の稽古をし....
「潜航艇「鷹の城」」より 著者:小栗虫太郎
にした。 法水は潜望鏡をながめたり、あるいは、潜水服がいくつとなく吊されている
一画を調べたりした。 艙蓋の下の室から機関室に行き、それから以前八住が殺された....
「仇討姉妹笠」より 著者:国枝史郎
女は植込を出て、本殿らしい建物の方へ、物の陰を辿って歩いて行った。 この構内の
一画に、泉水や築山や石橋などで、形成られている庭園があったが、その庭園の石橋の袂....
「光は影を」より 著者:岸田国士
らあまり遠くない、清水町と呼ばれる新開住宅地のとつつきにあつた。戦災をまぬがれた
一画の、それでも、すべてが荒れるにまかせてある、わびしい生活のかげが家々をおおつ....
「剣侠」より 著者:国枝史郎
の騒動はすぐに伝波し、家中の武士、夜廻りの者、若党、仲間などが獲物を携え、ここの
一画を包囲して、陣十郎を狩り立てた。 9 向こうでも人声がし、こちらでも人声が....
「作画について」より 著者:上村松園
府のお買上げになったもので、私の「草紙洗小町」「砧」「夕暮」の老境に入っての作の
一画をなす、いわば何度目かの画期作とも言うべきものでありましょう。 ....
「赤げっと 支那あちこち」より 著者:国枝史郎
カーテンがかかっていたが、その背後にもう寝台があるのだということだった。 この
一画は右折し左折し、細い露路が幾筋かに織られていて、迂闊に一人で入り込んだら迷児....
「淡島椿岳」より 著者:内田魯庵
ない。が、応挙や探幽の大作の全部を集めて捜しても決して発見されない椿岳独特の一線
一画がある。椿岳には小さいながらも椿岳独自の領分があって、この領分は応挙や探幽の....
「白峰の麓」より 著者:大下藤次郎
それを彩るものは秋の色である。高くもあらぬ西山の頂きは、もはや冬で、秋はこの麓の
一画に占められている、道もせの草にもその色はある。 青柳の町を、遥かに左に見て....
「火夫」より 著者:カフカフランツ
は、長い脚をもってはいるものの、その脚があんまり重すぎるのだ。 二人は料理場の
一画を通っていった。そこでは二、三人の汚ないエプロン姿の――彼女たちはわざと汁を....
「エリザベスとエセックス」より 著者:片岡鉄兵
世はなお二年続いた。が、政務の上を蔽い漂うのは、倦怠と不安の雲であった。かなたの
一画にのみ歴史が動いている――アイルランドであった。エリザベスが、マウントジョイ....