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一番鶏
「一番鶏〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
一番鶏の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「葱」より 著者:芥川竜之介
るのである。
桜頃《さくらごろ》のある夜、お君さんはひとり机に向って、ほとんど
一番鶏《いちばんどり》が啼く頃まで、桃色をしたレタア・ペエパアにせっせとペンを走....
「道祖問答」より 著者:芥川竜之介
人として春宵《しゅんしょう》のつれづれを慰めるために忍んで来た。――それが、まだ
一番鶏《いちばんどり》も鳴かないのに、こっそり床をぬけ出して、酒臭い唇《くちびる....
「星座」より 著者:有島武郎
ってきた。
清逸はしんとした心の中で、孵化場《ふかじょう》あたりから来るらしい
一番鶏の啼き声をかすかに聞いたように思った。部屋の中はしかし真暗闇だった。
純....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
刻も経ってから彼女は怖々のぞいて見ると、白いまぼろしはいつか消えていて、どこかで
一番鶏の鳴く声がきこえた。 夜があけると、すべてきのうの通りに、顔を洗って、髪....
「猿飛佐助」より 著者:織田作之助
て行われたのが、甲賀流忍術である……」 云々と、忍術の講義をはじめている内に、
一番鶏の鳴声が聴えた。 すると、老人にわかに狼狽して、 「はや
一番鶏の鳴声が…....
「神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
夜となり、下鍛冶屋宿、上鍛冶屋宿、住吉、畔、高台寺、甲府の城下へはいった頃には、
一番鶏の啼くほどの、深い夜となっていた。 依然甲府は火柱の主と、癩人と血吸鬼と....
「死者の書」より 著者:折口信夫
はるかな谿のながれの色が、白々と見え出す。更に遠く、大和|国中の、何処からか起る
一番鶏のつくるとき。 暁が来たのである。里々の男は、今、女の家の閨戸から、ひそひ....
「白髪鬼」より 著者:岡本綺堂
めて置かなければなりません。そんなことをいろいろ考えているうちに、近所の米屋で、
一番鶏の歌う声がきこえました。 あくる朝はゆうべの風のためか、にわかに冬らしい....
「健康と仕事」より 著者:上村松園
ているということは、しばしばというよりは毎日のようなこともあった。 「はて、いつ
一番鶏二番鶏が啼いたのであろう」 私は画室の障子がだんだん白みを加えてゆくのを....
「子供役者の死」より 著者:岡本綺堂
子分達がおもしろそうに飲んでいるのをまじまじと眺めていました。そのうちにどこかで
一番鶏が歌い始める。「お前も迷惑だろうから、もう帰ったらよかろう。」と吉五郎が言....
「黄八丈の小袖」より 著者:岡本綺堂
った。お菊は吃驚して見かえると、それを相図のようにお熊は窃と起った。どこかで既う
一番鶏の歌う声が聞えた。 それから八日目の九月十一日の夜半に、お菊は厳重に縛り....
「ピストルの使い方」より 著者:泉鏡花
っていらっしゃる、こちらへと、使者を火鉢に坐らせて、近常さんが向直って、(阿母、
一番鶏が鳴きました。時計はのうても夜は明けます。……鶏の目を明けよ、と云うおおせ....
「白峰の麓」より 著者:大下藤次郎
かで、針を刻むセコンドは殊更に冴えて耳元に響く。やがて一時が鳴る。すぐ上の塒では
一番鶏が啼く。ウトウトしながらも、二時三時と一つも聞き洩さずに一夜を過した。 ....
「活人形」より 著者:泉鏡花
が自殺をしたッ。と叫ぶを、「叱! 声高しと押止めて、眼を見合わせ少時無言、この時
一番鶏の声あり。 得三は片頬に物凄き笑を含みて、「八蔵。という顔を下より見上げ....
「五重塔」より 著者:幸田露伴
照らせる行燈も灯花に暗うなりにけり。 その夜は源太床に入りてもなかなか眠らず、
一番鶏二番鶏を耳たしかに聞いて朝も平日よりははよう起き、含嗽手水に見ぬ夢を洗って....