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「一盞〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

一盞の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
開化の良人」より 著者:芥川竜之介
日の暮から降り出した雨の中を、当時|柳橋《やなぎばし》にあった生稲《いくいね》へ一盞《いっさん》を傾けに行ったのです。所がそこの二階座敷で、江戸の昔を偲《しの》....
素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
来た。見ると幸《さいわい》小家の主人は、まだ眠らずにいると見えて、仄《ほの》かな一盞《いっさん》の燈火《ともしび》の光が、戸口に下げた簾《すだれ》の隙から、軒先....
政談月の鏡」より 著者:三遊亭円朝
然《そ》んな事を云っても仕方がない、家主が引取に来ると云うから、御酒《ごしゅ》の一盞《ひとつ》も上げなければならないから其の支度をして置きなさい、肴も何か好《よ....
西洋人情話 英国孝子ジョージスミス之伝」より 著者:三遊亭円朝
一杯やりながら緩々とお話がしたいね」 丈「此方でも聞きてえ事もあるから、有合物で一盞やろう」 と六畳の小間へ這入り、差向い、 丈「此処は滅多に奉公人も来ないか....
仮装人物」より 著者:徳田秋声
たいとはいつも思うことだが、そんな生活も現代ではすでに相当|贅沢なものであった。一盞の葡萄酒が、圧し潰された彼の霊ををとろとろした酔いに誘って、がじがじした頭に....
浮かぶ飛行島」より 著者:海野十三
た。昨日とはちがって、みちがえるように朗らかだった。 「司令官をお訪ねしたら、『一盞やれ』と尊い葡萄酒を下されたんだ」 と心持形をあらため、あとは、 「いい味....
唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
申上げましょう、お知己に……」 「私は一向に不調法ものでございまして。」 「まあ一盞。」 「もう、全く。」 「でも、一盞ぐらい、お酌をしましょう。」 と小村さ....
灯明之巻」より 著者:泉鏡花
の、先輩ならびに友人に対して済まぬ。憚り多い処から、「俳」を「杯」に改めた。が、一盞献ずるほどの、余裕も働きもないから、手酌で済ます、凡杯である。 それにして....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
いぜん言いつけておいた通りに、二階の一間が綺麗《きれい》に掃除されて、そこでまた一盞《いっさん》を傾けるように準備が整うていました。三ツ組の朱塗の盃が物々しく飾....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
四面みな雪で懐ろだけが、こうしてあたたまっている」 二人は猪をパクつきながら、一盞《いっさん》を試みている。 万葉集を行李《こうり》の中から取り出して、ここ....
政談十二社」より 著者:泉鏡花
も、小山にはまだ令室のないこと、並びに今も来る途中、朋友なる給水工場の重役の宅で一盞すすめられて杯の遣取をする内に、娶るべき女房の身分に就いて、忠告と意見とが折....
東山時代における一縉紳の生活」より 著者:原勝郎
紙三十六枚に和歌を書いてくれと所望した。しかるに実隆は一儀に及ばずこれを承諾し、一盞を勧めてもてなした。これによって察するにこの神余なる者はよほど早くからして、....
わが童心」より 著者:佐藤垢石
獲たる山女魚やはやに味覚を驚かせ候が、まれに美禄の配給にめぐり合い申せば僅かなる一盞に陶然として、わが身の生き甲斐を、しみじみと思い入り申侯。 対岸は伊勢の山....
式部小路」より 著者:泉鏡花
金之助に語りつつある、この黒旋風を驚かしたものは、智多星呉軍師の謀計でない、ただ一盞の白酒であった。―― 丹平|語を継ぎ、 「そこで医学士が、 (どうです、親....
紫式部」より 著者:長谷川時雨
肥っていはしなかっただろうか、ヒステリックでないことはたしかだ。 酒《ささ》を一盞《ひとつき》と、盃を手にした姿も想像する。 なんにしても、大きく、珍しいほ....