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一眼
「一眼〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
一眼の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「ひょっとこ」より 著者:芥川竜之介
くなっていた。小鼻が落ちて、唇の色が変って、白くなった額には、油汗が流れている。
一眼見たのでは、誰でもこれが、あの愛嬌のある、ひょうきんな、話のうまい、平吉だと....
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
見るとぎろっと睨《にら》みつけた眼をそのまま床の方に振り向けた。仁右衛門は場主の
一眼《ひとめ》でどやし付けられて這入る事も得せずに逡《しりご》みしていると、場主....
「夜行巡査」より 著者:泉鏡花
した、おまえなんだか、うれしそうだな」 と女《むすめ》の顔を瞻《みまも》れる、
一眼|盲《し》いて片眼《へんがん》鋭し。女はギックリとしたる様《さま》なり。 「....
「間諜座事件」より 著者:海野十三
も左の眼が悪いからこそ起るのだ。左の眼が悪いときは、悪い方の眼は見えないから右の
一眼で前面を見ることになる。そのためには顔を正面に向けていたのでは、左の方が見え....
「赤外線男」より 著者:海野十三
しまった。しかし左眼が潰れたことが異変というのじゃない。左眼が潰れたために、残る
一眼が急に機能が鋭くなったんだ。左右の肺の一つが結核菌に侵されて駄目になると、の....
「少年探偵長」より 著者:海野十三
おったとしても、お前のようならんぼう者には死んでも話さぬ」 戸倉老人は、のこる
一眼を大きくむいて、四馬をにらみつけた。 「わしが知りたいと思ったことは、かなら....
「空襲警報」より 著者:海野十三
手でしきりに咽喉のところをかきむしっていた。まさしく、毒瓦斯に中毒していることが
一眼でわかった。鍛冶屋の大将はまっさきに立ちあがって、その男のそばにかけつけた。....
「伯爵の釵」より 著者:泉鏡花
多い慣習である。 三味線背負った乞食坊主が、引掻くようにもぞもぞと肩を揺ると、
一眼ひたと盲いた、眇の青ぶくれの面を向けて、こう、引傾って、熟と紫玉のその状を視....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
る事も出来る。……東京の本場から、誰も来て怯かされた。某も参って拉がれた。あれで
一眼でも有ろうなら、三重県に居る代物ではない。今度名古屋へ来た連中もそうじゃ、贋....
「不周山」より 著者:井上紅梅
である。 長方形の板を載せているのは、女※の両腿の間に立って上を向いて、彼女を
一眼見ると急いでその小さい一片を差し上げた。彼女が続いて見ていると、それは非常に....
「車中有感」より 著者:上村松園
とおぼしい幼児を抱えて、何か言っている姿が眼にうつった。 わたくしは、その姿を
一眼みるなり、思わず、ほう……と、呟いた。その母親(おそらく二十二、三であったで....
「八犬伝談余」より 著者:内田魯庵
差掛った頃からであるが、馬琴は著書の楮余に私事を洩らす事が少なくないに拘わらず、
一眼だけを不自由した初期は愚か両眼共に視力を失ってしまってからも眼の事は一言もい....
「中支遊記」より 著者:上村松園
残している。日本の子供といえば、頭の恰好はほとんど定っており、男か女の子かも大体
一眼でわかるのだが、支那の子供達の頭は大袈裟にいうと千差万別といってよい。前額に....
「註文帳」より 著者:泉鏡花
遥に空を衝いて、雲のその夜は真黒な中に、暗緑色の燈の陰惨たる光を放って、大屋根に
一眼一角の鬼の突立ったようなのは、二上屋の常燈である。 五助は半身水口から突出....
「活人形」より 著者:泉鏡花
とこれを聞きて泰助は乗出して、「ほんとなら奇怪な話だ。まずお茶でも一ツ……という
一眼小僧は出ないかね。とさも聞惚れたる風を装おい、愉快げに問いかくれば、こは怪談....