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一種
「一種〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
一種の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
」
このことばの中には、蝎《さそり》のように、人を刺すものがある。次郎は、再び
一種の戦慄《せんりつ》を感じた。
「しかし、兄きは――」
「わたしは、親も捨てて....
「英雄の器」より 著者:芥川竜之介
ながら、満足そうに黙っている。すると、その中で、鼻の高い顔だけが、思いがけなく、
一種の感動を、眼の中に現した。黒い瞳が、熱を持ったように、かがやいて来たのである....
「戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
面の理解にも、乏しくないという自信がある。が、彼はそういう種類の芸術には、昔から
一種の軽蔑を持っていた。なぜかというと、歌にしても、発句にしても、彼の全部をその....
「疑惑」より 著者:芥川竜之介
を云えばその瞬間、私は驚愕《きょうがく》――と云うよりもむしろ迷信的な恐怖に近い
一種の感情に脅《おびや》かされた。また実際その男は、それだけのショックに価すべく....
「開化の良人」より 著者:芥川竜之介
のばしている、広重《ひろしげ》めいた松の立木――そこには取材と手法とに共通した、
一種の和洋|折衷《せっちゅう》が、明治初期の芸術に特有な、美しい調和を示していた....
「煙管」より 著者:芥川竜之介
、しまいには、じっと斉広の顔を見つめ出した。こう云う種類の人間のみが持って居る、
一種の愛嬌《あいきょう》をたたえながら、蛇が物を狙うような眼で見つめたのである。....
「或日の大石内蔵助」より 著者:芥川竜之介
り兼ねない勢いである。これに煽動《せんどう》された吉田、原、早水、堀部などは、皆
一種の興奮を感じたように、愈《いよいよ》手ひどく、乱臣賊子を罵殺《ばさつ》しにか....
「西郷隆盛」より 著者:芥川竜之介
た。そうしてそれが来るのを待つまでもなく、本間さんの方へ向き直って、鼻眼鏡の後に
一種の嘲笑の色を浮べながら、こんな事をしゃべり出した。
「西南戦争ですか。それは....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
一寸ずつ、一分《いちぶ》ずつ、じりじり砂を離れて行った。そうして再び彼等の間から
一種のどよみが起った時には、彼はすでに突兀《とつこつ》たる巌石を肩に支えながら、....
「少年」より 著者:芥川竜之介
彼の目に姿を現わしたのであろうか? あるいはまた少年に起り易い幻覚《げんかく》の
一種に過ぎなかったのであろうか? それは勿論彼自身にも解決出来ないのに違いない。....
「海のほとり」より 著者:芥川竜之介
た。そこへ向うからながらみ取りが二人《ふたり》、(ながらみと言うのは螺《にし》の
一種である。)魚籃《びく》をぶら下《さ》げて歩いて来た。彼等は二人とも赤褌《あか....
「墓」より 著者:秋田滋
らくお聴き取りのほどを願います。 わたくしは、初対面のおりに、彼女を見ますと、
一種異様な感をおぼえたのであります。それは、愕きでもありません、嘆美でもありませ....
「良夜」より 著者:饗庭篁村
ればこそこの橋上を徘徊致すなれ」と、天晴よき返答と思いて答えたり。巡査は予の面を
一種の眼光をもって打眺め、「そも御身は何処の者にて姓名は何と言わるる」と言い言い....
「スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
ある。路の真中に大きなゆりの木が立って、巨人のように、あたりの木立の上にそびえ、
一種の道標になっていた。その枝は瘤だらけで、奇妙な形をしており、ふつうの木の幹ぐ....
「狂人日記」より 著者:秋田滋
ことが解るだろう。そこでは民族がすべてなのだ。生きもの、砂漠の中に放浪生活を営む
一種族の生きものとは、そもいかなるものであろうか。彼等は、利口で、殺すことなど何....