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「一穂〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

一穂の前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
吾輩は猫である」より 著者:夏目漱石
た片足を畳の上に入れる。今度は寒月だと云う声も聞えぬ。やがて残る片足も踏み込む。一穂《いっすい》の春灯《しゅんとう》で豊かに照らされていた六畳の間《ま》は、陰士....
谷より峰へ峰より谷へ」より 著者:小島烏水
ら笛の音をポツポツ切って投げつけたような肉声が、音波短かく耳に入る。 槍ヶ岳が一穂の尖先を天に向けて立っている、白山が殆んど全容をあらわして、藍玉のように空間....
獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
した。同人としては、伊藤整、板垣直子、春山行夫、丹羽文雄、本多顕彰、徳永直、徳田一穂、岡田三郎、尾崎一雄、尾崎士郎、大鹿卓、和田伝、上泉秀信、田辺茂一、楢崎勤、....
獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
の上を無駄に流れています。紫の花も白い花もちっ共愛されていませんね。秋声の息子の一穂も親父程の骨組みと角とがなくて、もまれてふにゃふにゃになっているし、芸術家の....
夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
た。その杭の上にささやかな龕を載せて、浮世の波の押寄せる道の辻に立てて、かすかな一穂の燈明をかかげようと念じていたことも、今となってはそれもはかない夢であった。....
本朝変態葬礼史」より 著者:中山太郎
ので、しかも乗るとともに外から戸を釘で打ち付けさせて日光の見えぬようにし、僅かに一穂の孤灯を挑《かか》げ、三十日分の食物を用意しただけであつたと云う。この知らせ....
文化線の低下」より 著者:小川未明
じく地から産れたものでないか。その生命をつなぐために、沢山な麦束の中から、僅かな一穂をとったからとて、決して罪になるものでない。却って、私は、お前達を憐れむとい....
私本太平記」より 著者:吉川英治
くお諜し合ってのすえ、初めて、てまえにお使い役が下ったような次第でございまする」一穂の灯は、いつか有明けめいている。 帝はすでに御寝だった。 しかし岩松吉致....
私本太平記」より 著者:吉川英治
立つのかと思うと、師直師泰も、さすが心はおだやかでなく、剃りこぼった頭を寒げに、一穂の灯を無口に見合っていた。 そこへ寺僧が来て、ただいま、昼見えたお武家が、....
随筆 宮本武蔵」より 著者:吉川英治
は、ここに、坐ったのだろうか。 そして、素むしろか、何かを敷いて、一脚の机と、一穂の寒燈を照し、あの五輪書を、書いたという。 五輪書の序文にある――旧暦十月....
茶漬三略」より 著者:吉川英治
たものならば、なおさらのこと、その無限大の微笑光をもって、かかる文業も世の草々の一穂と眺めやるに過ぎまい。 つい「はしがき」が長くなったが。 以下、開運日輪....
大岡越前」より 著者:吉川英治
心の田だよ。わしは、日本中にまたがる大地主じゃから、あちこち、諸国のその田から、一穂ふた穂と、いただき集めてくるんだよ。――今にな、みんなも、自分自分の田から穂....