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一箇
「一箇〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
一箇の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「路上」より 著者:芥川竜之介
んです。しかもレムブラントのやつなんぞは、やっぱり例のレムブラント光線が、ぱっと
一箇所に落ちているんだから、振《ふる》っているじゃありませんか。つまりああ云う天....
「藪の中」より 著者:芥川竜之介
めていた。
盗人は妻が逃げ去った後《のち》、太刀《たち》や弓矢を取り上げると、
一箇所だけおれの縄《なわ》を切った。「今度はおれの身の上だ。」――おれは盗人が藪....
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
た》った後には彼れは農場一の大小作《おおこさく》だった。五年の後には小さいながら
一箇の独立した農民だった。十年目にはかなり広い農場を譲り受けていた。その時彼れは....
「義血侠血」より 著者:泉鏡花
瓦多《がた》馬車の畜生、乗っ越さねえじゃ」 「こっとらの顔が立たねえんだ」と他の
一箇《ひとり》は叫べり。 血気事を好む徒《てあい》は、応と言うがままにその車を....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
の命の糧にはならないで、何処にまれ動き進もうとする力は姿を隠した。私はいつまでも
一箇所に立っている。 これは私として極端に堪えがたい事だ。かのハムレットが感じ....
「『聖書』の権威」より 著者:有島武郎
術以上に私を動かします。芸術と宗教とを併説する私の態度が間違って居るのか、聖書を
一箇の芸術とのみ見得ない私が間違って居るのか私は知りません。(大正五年十月)....
「春昼」より 著者:泉鏡花
うのものが充満。 別に何んにもありませんので、親仁殿は惜気もなく打覆して、もう
一箇あった、それも甕で、奥の方へ縦に二ツ並んでいたと申します――さあ、この方が真....
「革鞄の怪」より 著者:泉鏡花
なかったのが分って、お心遣いの時間が五分たりとも少なかった、のみならず、お身体の
一箇処にも紅い点も着かなかった事を、――実際、錠をおろした途端には、髪|一条の根....
「橋」より 著者:池谷信三郎
女の顔。白々しい仮面のような彼女の顔。――彼はただ、彼女が、今、観客席の床の上に
一箇所の斑点のように、圧しつぶされてしまったあの男に対して、何んらの感情も持って....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
ようにしたけれども、軒を離れそうにもせぬのであった。 「店ぐるみ総じまいにして、
一箇々々袋へ入れたって、もう片が附く時分じゃないか。」 と呟くうちに真面目にな....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
郎がこの苔に就いて、いまだかつて何等の知識もないことに考え到って、越中の国富山の
一箇所で、しかも薄暗い処でなければ産しない、それだけ目に着きやすからぬ不思議な草....
「野のはくちょう」より 著者:アンデルセンハンス・クリスチャン
かへながれこんでいくのです。みずうみはふかいやぶにかこまれていましたが、そのうち
一箇所に、しかが大きなではいり口をこしらえました。エリーザはそこからぬけて、みず....
「取舵」より 著者:泉鏡花
んだ。船頭は未だ到なかッたが、所の壮者だの、娘だの、女房達が大勢で働いて、乗合に
一箇ずつ折をくれたと思い給え。見ると赤飯だ。」 「塩釜よりはいい。」とその友は容....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
条煮染めたような手拭、こいつで顱巻をさしたまま畳み込んだ看板、兀げちょろの重箱が
一箇、薄汚え財布、ざッとこれで、身上のありッたけを台箱へ詰め込んだ空車をひいて、....
「活人形」より 著者:泉鏡花
たる後、得右衛門はなお不審晴れ遣らねば、室の内を見廻るに、畳に附たる血の痕あり。
一箇処のみか二三箇処。ここかしこにぼたぼたと溢れたるが、敷居を越して縁側より裏庭....