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「一管〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

一管の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
ふもれすく」より 著者:辻潤
ず、また知りたいとも思わなかった。僕はひたすら自分のことにのみ没頭していた。僕が一管の尺八を携えて流浪の旅に出たなどと噂されたのもその時分の事だった。 さて、....
青蛙堂鬼談」より 著者:岡本綺堂
。 こうなると、ほかに仕様はない。年の若い彼はその笛をかかえて屋敷を出奔した。一管の笛に対する執着のために、彼は先祖伝来の家禄を捨てたのである。 むかしと違....
貝の穴に河童の居る事」より 著者:泉鏡花
た。 姫は、赤地錦の帯脇に、おなじ袋の緒をしめて、守刀と見参らせたは、あらず、一管の玉の笛を、すっとぬいて、丹花の唇、斜めに氷柱を含んで、涼しく、気高く、歌口....
雪たたき」より 著者:幸田露伴
や、聟殿があれを二の無いものに大事にして居らるるは予て知ってもおるが、……多寡が一管の古物じゃまで。ハハハ、何でこのわし程のものの娘の生命にかかろう。帰って申せ....
薄紅梅」より 著者:泉鏡花
子の野袴である。とはいえ、人品にはよく似合った。 この人が、塩瀬の服紗に包んだ一管の横笛を袴腰に帯びていた。貸本屋の女房がのっけに、薦僧と間違えたのはこれらし....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
りません」 「どうだい、君、ひとつ、ここで合わせてみたらどうだ、ちょうど、そこに一管がある、君の堪能《たんのう》でひとつ、返しを吹いて見給え」 といって池田良斎....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
ら、それだけは心得ておりました。伊勢から東海道を下る時に、たしか浜松までは、その一管の尺八に余音《よいん》をこめて旅をして来たはずです。浜松へ来て、お絹に逢って....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
りて、丁々《ちょうちょう》とその一本の竹を切って取り、手際よくこしらえ上げたのが一管の、一節切《ひとよぎり》に似たものです。 それを唇に当てて、ひとり微笑《ほ....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
の一品を手にとって、クルクルと打紐《うちひも》を解いて取り出したのは、尋常一様の一管の尺八でありました。 極めて簡単にそれを引き出して、歌口を湿してみましたが....
日本文化私観」より 著者:坂口安吾
この石を手に執りあげて一つ一つ読んでいたが、旅先の、それも天下に定まる家もなく、一管のペンに一生を托してともすれば崩れがちな自信と戦っている身には、気持のいい石....
絶縁体」より 著者:豊島与志雄
。その籠の中に、たいてい、スケッチブックを入れていた。それからたいてい、太い杖か一管の尺八を持っていた。竹籠は買物のためであって、いろいろな品物でふくらんでるこ....
紫大納言」より 著者:坂口安吾
あたかも稲妻に応えるように異様にかがやくものを見た。大納言はそれを拾った。それは一管の小笛であった。 折しも雨はごうごうと降りしぶいて、地軸を流すようだったの....
我が人生観」より 著者:坂口安吾
らは、一昔前のトンデモ・ハップン女学生が今日に至り、芥川賞の女流流行作家となって一管の筆によって敵の息の根をたちウラミを晴らしたという大ドラマは、私が一人のヤジ....
南国太平記」より 著者:直木三十五
っと食《は》み出して来た。そして、呼吸をするたびに、少しずつ、押し出されて来て、一管が、切口から食み出すと同時に、すぐ、そのつづきが、だらだらと出て、切口から垂....
棚田裁判長の怪死」より 著者:橘外男
身には手も足も出るものではありません。 思い余ってある時、この坊さんは、秘蔵の一管の尺八を携えて、家老の屋敷へ忍び入って来たことがありました。家老はちょうど御....