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一肩
「一肩〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
一肩の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
け、袴の股立ちを取って、親子してその間を奔走した。 「姫君さまのお輿なら、おれも
一肩入れさせてもらいたいな。」 これも篤志家の一人の声だった。 翌日は中津川....
「爛」より 著者:徳田秋声
なたいつまで続くと思って? 私だって、夜もおちおち眠られやしないくらいなのよ。第
一肩身も狭いし、つくづく厭だと思うわ。あなただって、経済が二つに分れるから、つま....
「小説 不如帰 」より 著者:徳冨蘆花
金鉱ですぜ」 「それは惜しいもんだね。素寒貧の僕じゃ仕方ないが、武男君、どうだ、
一肩ぬいで見ちゃア」 座に着きし初めより始終|黙然として不快の色はおおう所なき....
「雪之丞変化」より 著者:三上於菟吉
人が、
「あれも、なかなか人間も出来て来ましたの」
「はい、拙者も、何かの折は、
一肩入れねばと、思い設けていましたが、さすが、おさない折より老師の御教訓――やは....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
うく見きわめた上、宿役《しゅくやく》へお届け申すとしよう。相棒、時の災難だ、もう
一肩《ひとかた》貸してくんねえ」 「合点《がってん》だ」 「ああもし、それほどの....
「平凡」より 著者:二葉亭四迷
でも文壇に昔馴染《むかしなじみ》が無いでもない。恥を忍んで泣付いて行ったら、随分
一肩入れて、原稿を何処かの本屋へ嫁《かたづ》けて、若干《なにがし》かに仕て呉れる....
「貝の穴に河童の居る事」より 著者:泉鏡花
翁が仰ぐと、 「あら、そんなでもありませんわ。ぽっぽ。」 と空でいった。河童の
一肩、聳えつつ、 「芸人でしゅか、士農工商の道を外れた、ろくでなしめら。」 「三....
「縷紅新草」より 著者:泉鏡花
、提灯……」 唯今、午後二時半ごろ。 「私が持ちましょう、磴に打撞りますわ。」
一肩上に立った、その肩も裳も、嫋な三十ばかりの女房が、白い手を差向けた。 お米....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
いから来たんじゃないの」 しかも、乗込んで来たその主《ぬし》の乗物というのは、
一肩の釣台でした。 戸板へ畳を載せて、その上へ荒菰《あらごも》を敷いたばかりの....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
甚三郎はこの時も深く銘《きざ》みつけられました。 船が保田に着く。田山白雲は、
一肩《いっけん》の画嚢《がのう》をひっさげて、ゆらりと船から桟橋へ飛び移りました....
「農村」より 著者:宮本百合子
ただ。 と云って来た。その中の或る者は、水を四肩(二つの手桶を天秤棒にかけたのを
一肩と云う)も汲んで行ったり、これから四五日の薪をすっかりこしらえて行ったのもあ....
「お久美さんと其の周囲」より 著者:宮本百合子
よ。出すべき所へ出せばちゃんと此処に理が有るんだから、貴女さえウンとおっしゃれば
一肩脱がない者でも有りませんよ。 と云ったりする者があると、 「何、もうやっ....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
――山椒は小粒でもピリッとからいや。ねえ、事の仔細を聞いたうえでサ、案外乗り気に
一肩入れるかも知れませんぜ」
つぶやくような低声《こごえ》だが、歯切れのいい江....
「三国志」より 著者:吉川英治
関羽に会うと、彼は、漢中王の王旨であるといって、 「荊州の運命は、いまや将軍の
一肩にある。よろしく州中の兵を起して、ただ守るにとどまらず、敵の樊城をも攻め奪ら....