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一膳
「一膳〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
一膳の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「水の三日」より 著者:芥川竜之介
た。景品はほうきと目笊とせっけんで一組、たわしと何とか笊と杓子で一組、下駄に箸が
一膳で一組という割合で、いちばん割の悪いのは、能代塗の臭い箸が
一膳で一組である。....
「非凡なる凡人」より 著者:国木田独歩
や彼が一家は非運の底にあれど、ようするに彼は紳士の子、それが下等社会といっしょに
一膳《いちぜん》めしに舌打ち鳴らすか、と思って涙ぐんだのではない。けっしてそうで....
「のろのろ砲弾の驚異」より 著者:海野十三
士の住居は、南京路でも一等値段がやすく、そして一等|繁昌している馬環という下等な
一膳飯屋の地下にあるのだ。 「さあ、ここがその馬環です。どうです、たいへんな繁昌....
「唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
んでございますが、場所はソレ件の盆地だ。私が飲んでいました有合御肴というお極りの
一膳めしの前なんざ、小さな原場ぐらい小広うございますのに――それでも左右へ並ばな....
「開扉一妖帖」より 著者:泉鏡花
ある。 「――苦もなく開いたわ。お前さん、中は土間で、腰掛なんか、台があって……
一膳めし屋というのが、腰障子の字にも見えるほど、黒い森を、柳すかしに、青く、くぐ....
「伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
なぞとおっしゃって、夜遊びをなすって、とんだ若様でござります。どうして婆々が家の
一膳飯がお口に合いますものでござります。ほほほほ。」 「時に、三由屋という旅籠は....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
思議じゃねえようなものの、空樽の腰掛だね、こちとらだって夏向は恐れまさ、あのそら
一膳飯屋から、横っちょに駆出したのが若様なんです。え、滝先生、滝公、滝坊、へん滝....
「吝嗇神の宿」より 著者:坂口安吾
るかい」 「シラッパクれるな」 「よしなよ。私はお前の留守中には三度三度の御飯も
一膳ずつケンヤクしているぐらいお前さんに惚れてるんだよ。よその男なんか、アブかト....
「一利己主義者と友人との対話」より 著者:石川啄木
るのもそれだ。 A 何だい、うまい物うまい物って言うから何を食うのかと思ったら、
一膳飯屋へ行くのか。 B 上は精養軒の洋食から下は
一膳飯、牛飯、大道の焼鳥に至る....
「わが工夫せるオジヤ」より 著者:坂口安吾
めてしまった。それで一向に痩せないのである。朝晩二度のオジヤもごく小量で、御飯の
一膳に足りない程度であるし、パンなら四半斤、ソバはザル一ツ、あるいはナベヤキ一ツ....
「四月馬鹿」より 著者:織田作之助
は割引時間になってから見た。料亭よりも小料理屋やおでん屋が好きで、労働者と一緒に
一膳めし屋で酒を飲んだりした。木賃宿へも平気で泊った。どんなに汚ないお女郎屋へも....
「深川女房」より 著者:小栗風葉
うお飯も何もたくさん。さっきから遠慮なしに戴いて、お腹が一杯だから」 「だって、
一膳ぐらいいいだろう? 俺も付き合う」 「お前さんはまだお酒じゃないか、私ゃ本当....
「にらみ鯛 」より 著者:佐藤垢石
階近くへ出御、光遍き秋空に、禁庭の荻叢に歌う虫の音に、ご興尽くるところを知らず、
一膳を用意するよう仰せられた。そして、上皇は御階の近くへ仮の御座を設けさせられた....
「葛飾砂子」より 著者:泉鏡花
前になってみりゃ、盆も正月も一斉じゃ、無理はねえ。 それでは御免|蒙って、私は
一膳遣附けるぜ。鍋の底はじりじりいう、昨夜から気を揉んで酒の虫は揉殺したが、矢鱈....
「洗いづくりの世界」より 著者:北大路魯山人
にか弱い風をはらんだ夕闇と交替する。働いた汗がさっぱりと拭われて、座前おもむろに
一膳が置かれる。酒を伴わすとも、また伴わずとも、まず箸をつけてみたい洗いづくり。....