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一興
「一興〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
一興の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
首を出して鼻唄を歌っていると、まるで狐に化かされたような形であるが、それも陣中の
一興として、その愉快は今でも忘れない。甕は焼き物であるから、湯があまりに沸き過ぎ....
「春昼」より 著者:泉鏡花
ましょう。 荒れたものでありますが、いや、茶釜から尻尾でも出ましょうなら、また
一興でござる。はははは、」 「お羨い御境涯ですな。」 と客は言った。 「どうし....
「千早館の迷路」より 著者:海野十三
い人は、業平のあの歌の上の句の中から、この物語の登場者の姓又は名を拾ってみるのも
一興であろう。....
「爆薬の花籠」より 著者:海野十三
、ともかくも、空地にむしろを吊ってでも、興行をつづけることにきめた。そしてその第
一興行地を、今生産事業で賑わっている東京の城南方面にえらび、どうなるかわからない....
「宇宙尖兵」より 著者:海野十三
の日は退屈でもあったので、暇つぶしに、ベラン氏対リーマン博士の押問答を見物するも
一興だと思い、ベラン氏の引立てるままに、倶楽部を出ていった。 氏は、艇内をあっ....
「伯爵の釵」より 著者:泉鏡花
れば……だけど、そこまでは気が付かない。……」 大通りは一筋だが、道に迷うのも
一興で、そこともなく、裏小路へ紛れ込んで、低い土塀から瓜、茄子の畠の覗かれる、荒....
「星女郎」より 著者:泉鏡花
し、すいと伸して、並木の梢を道づれになった。可懐いその姿を見るのも、またこの旅の
一興に算えたのであったから――それを思出して窺ったが……今日は見えぬ。 なお前....
「成層圏飛行と私のメモ」より 著者:海野十三
けのものでない。が、素人をむき出しにして、専門家のいわないことをのべてみるのも、
一興であろうと思い、ペンをとりあげた。 一体、成層圏とは、どんな高さの空で、そ....
「多神教」より 著者:泉鏡花
決して及ばぬ。料理|方が摺鉢俎板を引くりかえしたとは違うでの、催ものの楽屋はまた
一興じゃよ。時に日もかげって参ったし、大分寒うもなって来た。――おお沢山な赤蜻蛉....
「雪柳」より 著者:泉鏡花
。いや夜あるきには馴れている、雨も小留みに、月も少し明ければ途すがら五位鷺の声も
一興、と孔雀の尾の机にありなしは知らぬ事、時鳥といわぬが見つけものの才子が、提灯....
「風呂を買うまで」より 著者:岡本綺堂
首を出して鼻唄を歌っていると、まるで狐に化かされたような形であるが、それも陣中の
一興として、その愉快は今でも忘れない。甕は焼物であるから、湯があまりに沸き過ぎた....
「西航日録」より 著者:井上円了
において彼らの検疫を行うに、上衣を脱して、半身裸体ならしむ。これを一見するもまた
一興なり。余もここに上陸し人車に駕して、市街および公園を遊覧するに、市街はシナ人....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
よび茶器を携帯しおれり。食事のときは一卓十八人に対し、ボーイ一人、その混雑もまた
一興なり。余はこの旅行によりて、西洋の中等社会の実況を知るの便を得たるを喜ぶ。当....
「大利根の大物釣」より 著者:石井研堂
往きし忘筌子、利根川(江戸川)に鯉釣に出でし江東子に、獲物を見せて愕かし呉るるも
一興なり。など空想を描きつつ窓によりて進む。 田の面一般に白く、今を盛りと咲き....
「仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
持つ その言葉は古くしていつも新しい 伸びる前には屈するのだ 勝つ前に負けるのも
一興 この考えは古くても真理だ たとえ言い古しても真理は真理だ 真理の前には い....