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一草
「一草〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
一草の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「槍が岳に登った記」より 著者:芥川竜之介
かしいが全く石の洪水という語がゆるされるのならまさしくそれだ。上の方を見上げると
一草の緑も、一花の紅もつけない石の連続がずーうっと先の先の方までつづいている。い....
「断崖の錯覚」より 著者:黒木舜平
すようなよろこびに、私はうかされて了ったのであろう。新進作家になってからは、一木
一草、私にとって眼あたらしく思えるのだった。海岸をステッキ振り振り散歩すれば、海....
「隣の嫁」より 著者:伊藤左千夫
である。 今年の稲の出来は三、四年以来の作だ。三十俵つけ一まちにまとまった田に
一草の晩稲を作ってある。一株一握りにならないほど大株に肥えてる。穂の重みで一つら....
「人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
のようにうかんでいる。しかし、瘴癘の湿地からのがれてほっとしたかと思えば、ここは
一草だにない焦熱の野である。 赤い、地獄のような土がぼろぼろに焼けて、たまに草....
「旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
。 だが、人の心に巣喰う退屈は、恋の病共々四百四病のほかのものに違いない。一木
一草そよ吹く風すら、遠つ御祖の昔思い偲ばれて、さだめしわが退屈男も心明るみ、恋し....
「初蛙」より 著者:薄田泣菫
やっているのをみれば、花供養をしてもよかろうと思います。いつでしたか、友人の西川
一草亭氏にこの事を話しましたら、氏は 「私は花を犠牲にばかりはしていません。私の....
「海神別荘」より 著者:泉鏡花
にしろすこしばかりの事を、別に知らせるには及ばんのに。 僧都 いやいや、鱗一枚、
一草の空貝とは申せ、僧都が承りました上は、活達なる若様、かような事はお気煩かしゅ....
「伯爵の釵」より 著者:泉鏡花
状、枝の振の、各自名ある神仙の形を映すのみ。幸いに可忌い坊主の影は、公園の一|木
一草をも妨げず。また……人の往来うさえほとんどない。 一処、大池があって、朱塗....
「楢重雑筆」より 著者:小出楢重
図ばかりを気にかけ、構図の為めに構図をする様にであっては反って面白くないと思う。
一草一木さえ写す技能なしに徒らに画面の構図ばかりを気に病んで、勝手気ままに自然を....
「油絵新技法」より 著者:小出楢重
ばかりを気にかけ、構図のために構図をするようであってはかえって面白くないと思う。
一草一木さえ写す技能なしにいたずらに画面の構図ばかりを気に病んで、勝手気ままに自....
「日本文化私観」より 著者:坂口安吾
下まで、空壕の中も、一面に、爆破した瓦が累々と崩れ重っている。茫々たる廃墟で一木
一草をとどめず、さまよう犬の影すらもない。四周に板囲いをして、おまけに鉄条網のよ....
「「太平洋漏水孔」漂流記」より 著者:小栗虫太郎
みるも厭らしいくらい黄色をした、鉱物質の滓が瘡蓋のように覆い、じつは睡蓮はおろか
一草だにもなく、おそらくこの泥では櫂も利くまいと思われる。そしてここが、奥パプア....
「おばけずきのいわれ少々と処女作」より 著者:泉鏡花
し、観世音に無量無辺の福徳ましまして、その功力測るべからずと信ずるのである。乃至
一草一木の裡、あるいは鬼神力宿り、あるいは観音力宿る。必ずしも白蓮に観音立ち給い....
「妖怪学」より 著者:井上円了
どにて血出でて止まらざるときは、何草にても三品とり、わが手中にてもみ付くるなり。
一草ごとに天にむかい手を合わせ、「朝日が下の三の葉草付くるととまる血がとまる、あ....
「児童の解放擁護」より 著者:小川未明
のもあるのだ。かりに、これを借りることも、規律正しく使用するに於ては、ために一木
一草を損うことなくすむであろう。 かゝる正義の行使は、今日の社会として、当然持....