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「一見〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

一見の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
大導寺信輔の半生」より 著者:芥川竜之介
たものの、上へ張った緑色の羅紗《ラシャ》も、銀色に光った抽斗《ひきだし》の金具も一見|小綺麗《こぎれい》に出来上っていた。が、実は羅紗も薄いし、抽斗も素直にあい....
不思議な島」より 著者:芥川竜之介
島はサッサンラップと云うのですがね。綴りですか? 綴りはSUSSANRAPです。一見《いっけん》の価値のある島ですよ。この船も五六日は碇泊《ていはく》しますから....
河童」より 著者:芥川竜之介
序 これはある精神病院の患者、――第二十三号がだれにでもしゃべる話である。彼はもう三十を越しているであろう。が、一見したところはいかにも若々しい狂人である。彼の半生の経験は、――いや、そんなこ....
」より 著者:芥川竜之介
れが、紀元千二百八十八年になって、始めて人を化かすようになった。――こう云うと、一見甚だ唐突《とうとつ》の観があるように思われるかも知れない。が、それは恐らく、....
或恋愛小説」より 著者:芥川竜之介
もりです。もっとも僕の友人は美男《びなん》ですが、達雄は美男じゃありません。顔は一見ゴリラに似た、東北生れの野蛮人《やばんじん》なのです。しかし目だけは天才らし....
西郷隆盛」より 著者:芥川竜之介
かけたので、殊にそう云う感じを深くさせた。着ているのは黒の背広であるが、遠方から一見した所でも、決して上等な洋服ではないらしい。――その老紳士が、本間さんと同時....
侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
もののうちでも、特に死よりも強いかどうか、迂濶《うかつ》に断言は出来ないらしい。一見、死よりも強い恋と見做《みな》され易い場合さえ、実は我我を支配しているのは仏....
或る女」より 著者:有島武郎
先案内業者組合の設立について正井がいちばん働いているらしかった。正井という男は、一見放漫なように見えていて、剃刀《かみそり》のように目はしのきく人だった。その人....
星座」より 著者:有島武郎
ことなく、思いあがった態度で吹聴《ふいちょう》しているのに比べると、白石の思想は一見平凡にも単調にも思えるけれども、自分の面目《めんもく》と生活とから生れでてい....
宣言一つ」より 著者:有島武郎
上的方向に導いていってくれるものであるとの、いわば迷信を持っていた。そしてそれは一見そう見えたに違いない。なぜならば、実行に先立って議論が戦わされねばならぬ時期....
想片」より 著者:有島武郎
られてい、未来にどう繋《つな》がれようとも、それをいささかも念とはしない。これは一見きわめて英雄的な態度のように見える。しかしながら本当に考えてみると、その人の....
惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
性の働きを解釈したり、助成したりしてはならぬという事だ。例えば個性の要求の結果が一見肉に属する慾の遂行のように思われる時があっても、それをお前が今まで考えていた....
霊訓」より 著者:浅野和三郎
, The Teacher, と署名してあった。この司配霊の手蹟はいつも同一で、一見その人と知ることができた。彼は私にとりて一の実在であり、一の人格であり、その....
小杉未醒氏」より 著者:芥川竜之介
時天岡の翁も、やはり小杉氏の外貌に欺かれているなと云う気がした。 成程小杉氏は一見した所、如何にも天狗倶楽部らしい、勇壮な面目を具えている。僕も実際初対面の時....
本所両国」より 著者:芥川竜之介
ある浮き桟橋は――震災は勿論この浮き桟橋も炎にして空へ立ち昇らせたであろう。が、一見した所は明治時代に変っていない。僕等はベンチに腰をおろし、一本の巻煙草に火を....