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一言一句
「一言一句〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
一言一句の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「狂言の神」より 著者:太宰治
やろうと企てた。自己喪失症とやらの私には、他人の口を借りなければ、われに就いて、
一言一句も語れなかった。たち拠らば大樹の陰、たとえば鴎外、森林太郎、かれの年少の....
「茶の本」より 著者:岡倉覚三
に接するごとくせよ。」傑作を理解しようとするには、その前に身を低うして息を殺し、
一言一句も聞きもらさじと待っていなければならない。宋のある有名な批評家が、非常に....
「支倉事件」より 著者:甲賀三郎
」 若い教授は鳥渡言葉を切った。固唾を呑んで聞いていた石子は、はっと面を上げて
一言一句も聞き落とすまいと身構えた。こゝからは大川が一眼に見渡せて、折柄満々たる....
「火星兵団」より 著者:海野十三
っと見廻した。一座は、しいんとなって、課長の口から出て来る稀代の怪事件に関する、
一言一句も聞きもらすまいとしている。
大江山課長は、言葉をついで、
「確かに、....
「蜘蛛の夢」より 著者:岡本綺堂
。」 おかみさんは他人事だと思って、笑いながら話していましたが、わたくしはその
一言一句を聞きはずすまいと、一生懸命に耳を引っ立てていました。 「人の噂ですから....
「番町皿屋敷」より 著者:岡本綺堂
した飯田町の大久保殿の二番娘……」 お菊は襖を押倒すほどに身を寄せかけて、その
一言一句をも聞き落すまいと耳を澄ましていた。 「名は藤江という。年は十八で、器量....
「地上」より 著者:島田清次郎
るひとときよ! 力に豊かな、ややふるえた和歌子の音声が語ったその日の話は、微細な
一言一句もはっきりと平一郎は憶えていた。 「わたしの父が七、八年前に朝鮮の公使館....
「八犬伝談余」より 著者:内田魯庵
音の隠れ家に道節と荘介が邂逅する一条や、返璧の里に雛衣が去られた夫を怨ずる一章は
一言一句を剰さず暗記した。が、それほど深く愛誦反覆したのも明治二十一、二年頃を最....
「二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
か「好い加減」とかいう事が嫌いであったし、また出来ない人であった。談話するにさえ
一言一句を考え考え腹の底から搾出し、口先きでお上手や胡麻化しをいう事が決して出来....
「松園女史の思い出」より 著者:金子薫園
の化政時代の麗人がそこへ浮び出たかと思われるたおやかさであった。言葉ずくなに語る
一言一句は私の身にも心にもしみ透るような感銘を受けた。その時私は、 初夏のお池の....
「チベット旅行記」より 著者:河口慧海
ては非常の注意を持って穿鑿するという有様である。その事は私もよく承知して居るから
一言一句といえども――たとえ笑いながら発するごく無邪気の言葉でも――充分注意を加....
「エリザベスとエセックス」より 著者:片岡鉄兵
なさるべく」とマアカムは書いている。「けっして足下の意見はお吐きなさるまじく候。
一言一句、国内の耳に届くべく候えばなり」一般情勢には恐怖すべきものがある。「注意....
「かもめ」より 著者:神西清
色、こいつは夏の夕方の描写に使おう、とね。こうして話をしていても、自分やあなたの
一言一句を片っぱしから捕まえて、いそいで自分の手文庫のなかへほうりこむ。こりゃ使....
「はつ恋」より 著者:神西清
った。わたしは膝をついたまま、すっかり悄気かえって、彼女を見まもっていた。彼女の
一言一句は、鋭くわたしの胸に突き刺さった。わたしはその瞬間、もし彼女の悲しみが消....
「鷺娘」より 著者:大倉燁子
た、涙はその指を伝わって流れた。 百合子の胸の中は口惜しさで一杯だった。家元の
一言一句はさながら毒汁でも注射したように骨身に通った。朋輩の前でこれほどまでに侮....