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一語
「一語〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
一語の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「玄鶴山房」より 著者:芥川竜之介
らなかった。重吉はやはり彼女にも「お母さん、きょうはどうですか?」と云う、手短な
一語を残したまま、六畳の茶の間へはいるのだった。
妻のお鈴は茶の間にいなければ....
「河童」より 著者:芥川竜之介
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ボオドレエルは白痴になった後《のち》、彼の人生観をたった
一語に、――女陰の
一語に表白した。しかし彼自身を語るものは必ずしもこう言ったこと....
「道祖問答」より 著者:芥川竜之介
神が、何としてこれへ見えた。」
「御経を承《うけたま》わり申した嬉しさに、せめて
一語《ひとこと》なりとも御礼申そうとて、罷《まか》り出《いで》たのでござる。」
....
「或る女」より 著者:有島武郎
ういった言葉も葉子にはどこか戯曲的な不自然な言葉だった。しかし倉地は反対に葉子の
一語一語に酔いしれて見えた。
「だれが離すか」
事務長の言葉はみじめにもかすれ....
「或る女」より 著者:有島武郎
めにも正井のきげんを取りはずしてはならないと思うようになった。そして正井の言葉が
一語一語思い出されて、夜なぞになると眠らせぬほどに葉子を苦しめた。葉子はまた一つ....
「星座」より 著者:有島武郎
いう人が世の中には本当にあるものだろうか。……おぬいは読本に眼をやりながら、その
一語をも読むことなしに、こんなことを考えた。渡瀬はがさつで下品でいけないと家に来....
「奈々子」より 著者:伊藤左千夫
は泣いたかッ」 と問うたら、長女の声でまだ泣かないと聞こえた。自分はその不安な
一語を耳にはさんで、走りに走った。走れば十分とはかからぬ間なれど肥った自分には息....
「野菊の墓」より 著者:伊藤左千夫
った。僕ははアそうですかと無造作に答えて出てしまった。 民子は嫁に往った。この
一語を聞いた時の僕の心持は自分ながら不思議と思うほどの平気であった。僕が民子を思....
「最終戦争論」より 著者:石原莞爾
発表した――即ち日蓮聖人の教えを完成したところの予定された人でありますから、この
一語は非常な力を持っていると信じます。 また日蓮聖人は、インドから渡来して来た....
「戦争中止を望む」より 著者:伊丹万作
現在の日本は政治、軍事、生産ともに行き当りばったりであり、万事が無為無策の
一語に尽きる。 我々国民は、政府が勝利に対する強力なる意志と、周到なる計画性と....
「春の潮」より 著者:伊藤左千夫
さま泣かしてください」 しどろもどろにおとよは声を呑むのである。省作はとうとう
一語も言い得ない。 悲しくつらく玉の緒も断えんばかりに危かりし悲惨を免れて僅か....
「去年」より 著者:伊藤左千夫
てる、こうしているのを見ればちっとも憎くないけど……」 ちっとも憎くないけどの
一語は僕の耳には烈しい目ざましになった。妻はふたたび浮かぬ顔に帰ってうつぶせにな....
「橋」より 著者:池谷信三郎
?…… 彼女が籠に入れられた一羽の伝書鳩を受け取り、彼に、さよなら、とつめたい
一語を残してあのガランとした裁判所の入口から出てきた時、ホテルへ向うアスファルト....
「霊訓」より 著者:浅野和三郎
欠乏から来る心身の衰弱は如何?』 節制第一――われ等の推奨する所は、ただ節制の
一語に尽きる。肉体が食物の補給を必要とするは勿論なれど、ただそれが完全に消化した....
「戦争責任者の問題」より 著者:伊丹万作
本の国民というものは永久に救われるときはないであろう。 「だまされていた」という
一語の持つ便利な効果におぼれて、一切の責任から解放された気でいる多くの人々の安易....