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一調
「一調〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
一調の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
奇なり、結構なお出来でございますな。」
細銀杏は肩の手拭を桶の中へ入れながら、
一調子張り上げて弁じ出した。
「船虫《ふなむし》が瞽婦《ごぜ》に身をやつして、小....
「あらくれ」より 著者:徳田秋声
思いきったけばけばしい身装《なり》をして、劈頭《のっけ》に姉を訪ねたとき、彼女は
一調子かわったお島が、何を仕出来《しでか》すかと恐れの目を※《みは》った。看《み....
「或る女」より 著者:有島武郎
名物の一つにしてしまった。性質が母親とどこか似すぎているためか、似たように見えて
一調子違っているためか、それとも自分を慎むためであったか、はたの人にはわからなか....
「彼岸過迄」より 著者:夏目漱石
たかも御雛様のそれのごとく可憐《かれん》に聞いた。 彼は須永《すなが》の口から
一調子《ひとちょうし》狂った母子《おやこ》の関係を聞かされて驚ろいた。彼も国元に....
「明暗」より 著者:夏目漱石
またどうしても聴いていられなかった。先刻《さっき》から一言葉《ひとことば》ごとに
一調子《ひとちょうし》ずつ高まって来た二人の遣取《やりとり》は、ここで絶頂に達し....
「縮図」より 著者:徳田秋声
女は映画は飯より好きだったし、大学を中途で罷めただけに、歴史の知識があり、説明に
一調子かわったところのあるこの弁士にも好感はもてたが、その雰囲気に入るには、性格....
「梅津只円翁伝」より 著者:杉山萠円
一人の老師から受け継ぐべく精進した。 又藩公へお客様の時には、翁は囃子、仕舞、
一調等を毎々つとめた。他家へお供して勤めた事もあったが、同時に師匠の能静師の事が....
「虚子君へ」より 著者:夏目漱石
キ屋の長い看板があるから見て、御覧なさい。 楠一族の色彩ははなはだよろしい。第
一調和しているようです。正成の細君は品があってよござんす、あの子も好い。みんな好....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
地源三郎、すなわちこれ。 この二人は、侯爵津の守が、参宮の、仮の館に催された、
一調の番組を勤め済まして、あとを膝栗毛で帰る途中であった。 二十一....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
と咳払《せきばら》いをしてから、また急に思い出したように、五六枚はね飛ばして、
一調子張り上げ、 「身、五民ノ外ニ処シテ、或ハ貴《き》ニヨク、或ハ賤《せん》ニ....
「椎の木」より 著者:豊島与志雄
に生きあがってきて、何か意味をもつようだった。その上、並べ方の順序に、驚くべき統
一調和があった。殊に、男女のものがまじってるのに、その顔付だけを見ていると、男と....
「名人地獄」より 著者:国枝史郎
ご馳走にありつこうとは、いや夢にも思わなかったなあ。どれ」というと鼓を取り上げ、
一調子ポ――ンと打ち込んだ。やっぱり同じ音色であった。 「こいつあいよいよ間違い....
「卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
たそうです。四五年前に、神田の私の内へ訪ねて来た時、小鼓まで持参して、(八郎さん
一調を。)と云うじゃありませんか。しかも許しものの註文です。(何、私と
一調だ、可....
「チベット旅行記」より 著者:河口慧海
人であるかあるいは純粋の仏教僧侶であるか、またその平生の行為はいかがであるかを逐
一調査せられたい。
もし厳密に精確の調査を遂げて帰らるるにおいては、法王殿下は....
「雨」より 著者:織田作之助
てあきれかえって眼をしばたいているのには眼もくれず、隣のテーブルで、どう考えても
一調子高すぎると思われる下手な東京弁で大学生が口説くのを、腕組みしながらフン/\....