一足違い[語句情報] » 一足違い

「一足違い〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

一足違いの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
断層顔」より 著者:海野十三
帆村はそれから木田の肩へ手をおいた。「木田さん。あなたが恨みをいいたかった人は、一足違いで、死骸になってしまったらしいですよ。あなたは不満かも知れないが、約束ご....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
当人だろうと思って、踏みとどまってみていると、果して、 「斎藤だよ、斎藤一だよ、一足違いで君に逢えなかった、君を御簾《みす》の間《ま》へ残して置いたのは、こうい....
黒百合」より 著者:泉鏡花
あないな。兵粮だって餡麺麭を捻込んで、石滝の奥へ、今の前橋を渡ったんだ、ちょうど一足違い位なもんだ。」 「やッ、」というて目を※る義作と一所に吃驚したのは、茶店....
」より 著者:織田作之助
ぬ。お前に会わす顔のない母です。恨んでくれるな。腑に落ちかねる手紙だった。手紙と一足違いに意外にも安二郎が迎えに来た。 安二郎の顔を見て、豹一は呆気にとられて....
南蛮秘話森右近丸」より 著者:国枝史郎
見る見る顔色を蒼白くした。と、グッタリと牀几の上へ、腰を下ろすと喘ぎ出した。 「一足違い一足違い!」 「何?」とばかり右近丸。 「売り渡しましてございます」....
名人地獄」より 著者:国枝史郎
甚内はワナワナ顫え出した。 「助けてやろうと我々二人、すぐに後を追っかけたが、一足違いで間に合わなかった」 「嘘だ嘘だ! 殺されるものか!」 「凄いような美男....
昨日・今日・明日」より 著者:織田作之助
安いことなんですが、うちに一羽残っていた奴を今さきつぶしてしまった所なんですよ。一足違いでしたよ」 という返事である。 しょんぼりと松尾家の玄関を出ると、 ....
死剣と生縄」より 著者:江見水蔭
が、今朝は別して師匠の事が気に掛って何んだか一刻半刻を争うように思われたので……一足違いで師の臨終に逢えないような気がしたので、それで姉御の帰りをも待たず、飛出....
悪因縁の怨」より 著者:江見水蔭
矢張今日では癩病に次いで嫌われるのだが、その頃には一向問題にしていなかった。 「一足違いだッた。その事を聴かしたら病気も快くなって、死なずに出世も出来たろうのに....
坑鬼」より 著者:大阪圭吉
りの採炭坑の入口で、そこにしつらえられた頑丈な鉄の防火扉をみるみる締めはじめた。一足違いで密閉を免れたお品は、ホッとして無意識であたりを見廻わしたが、この時はじ....
飛騨の怪談」より 著者:岡本綺堂
ならぬ。市郎は洋杖を把直して、物音のする方へ飛び込んで見ると、もう遅かった。僅に一足違いで、トムは既に樹根に倒れていた。敵は髪を長く垂れた十五六の少年で、手には....
」より 著者:織田作之助
った。何かあると心配だったが、それよりも先ず母は変ったとどきんと胸に来た。手紙と一足違いに、意外にも安二郎が迎えに来た。 お君は変った。まるで生れ変ってしまっ....
四つの都」より 著者:織田作之助
の中で庄平に注射をして貰った男である。 主人「残念なことしやはりましたなァ、ほん一足違いだした」 節子「その仏像を買った方のお名前御存知ですの?」 主人「へえ、....
恐怖の幻兵団員」より 著者:大倉燁子
だ。彼は手探りで、まず地下室の鍵を開け、階段を降りかけると、下から低い声で、 「一足違いでした。御病人は父君の御臨終に間に合わなければ、と、仰しゃって、飛んでお....
私の履歴書」より 著者:井上貞治郎
華そば屋に雇われ、当時名声をはせた島貫兵太夫のチベット入りの一行に加わろうとし、一足違いで間に合わず、残念でならなかったこともあった。 ええい! 行けるところ....