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「一進一退〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

一進一退の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
人間失格」より 著者:太宰治
な犯され方をして、時たま夫婦|喧嘩《げんか》みたいな事をはじめ、胸の病気のほうは一進一退、痩せたりふとったり、血痰《けったん》が出たり、きのう、テツにカルモチン....
旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
周目に及んだとき、さらに両名は二馬身ずつうしろの二人を抜いて、黒白両頭の名馬は、一進一退馬首を前後させながら、次第に第五周目の決勝点に迫りつつあったので、大坪流....
野菊の墓」より 著者:伊藤左千夫
ょうぜん》としているのである。それを見ると僕もまたたまらなく気の毒になる。感情の一進一退はこんな風にもつれつつ危くなるのである。とにかく二人は表面だけは立派に遠....
さようなら」より 著者:田中英光
て自分で伸ばそうとしない。この病気は現在でも病源が判らず不治とされている。患者は一進一退の後、こうして植物の如く生きながら次第に、頭の先から立ち枯れてゆくのだ。....
田原坂合戦」より 著者:菊池寛
弾を浴びて戦死して居る。 越えて六日には、早朝から、田原坂、二俣を攻撃したが、一進一退、容易にこれを抜く事が出来ない。高瀬に在る野津大佐は、四十数名の選抜隊を....
運命」より 著者:幸田露伴
麾いて敵の左翼に突入す。王の子|高煦、張玉等の軍を率いて斉しく進む。両軍相争い、一進一退す、喊声天に震い 飛矢雨の如し。王の馬、三たび創を被り、三たび之を易う。....
みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
黒紋付木綿の綿入に袴を穿いた倔強な若い男が六人、歌につれて神前に踊りはじめた。一進一退、裏むき表むき、立ったり蹲んだり、黒紋付の袖からぬっと出た逞ましい両の手....
中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
ると、蛇は一丈ほどの前まで進んで来ながら、何物にかさえぎられるように逡巡みした。一進一退、おなじようなことを三度も繰り返した後に、蛇は遂に首を伏せて立ち去ってし....
世界の一環としての日本」より 著者:戸坂潤
本型ファシズムへの一途としか見えないだろう。以上が私の最も大づかみな観測だ。 二一進一退はあるとしても、ジグザグの形をとるにしても、ここ数年来の日本の大勢が駸々....
二つの途」より 著者:豊島与志雄
介と二人で逃げ込んだ木下の家、初めの苦しい而も楽しい五ヶ月、それから啓介の病気、一進一退する長い病気、苛ら立ちと疲労、――それらの過去が一つの大きな影となって、....
夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
せた。しばしば迷眩を感ずるようになったのは、それからのことである。そういう状態が一進一退して、長いことかれを苦しめ抜いた。その間にあってかれの生活も思想もおのず....
智恵子の半生」より 著者:高村光太郎
温泉まわりを一緒にしたが、上野駅に帰着した時は出発した時よりも悪化していた。症状一進一退。彼女は最初幻覚を多く見るので寝台に臥しながら其を一々手帳に写生していた....
真珠の首飾り」より 著者:神西清
ろか、もし僕にこれという差迫った用事もなくて、この御両人がおっぱじめた恋愛遊戯の一進一退に、いちいち茶々を入れられるほどの閑人だったとしたら、てっきり僕は又して....
三十年前の島田沼南」より 著者:内田魯庵
りじゃない。 沼南は終始一貫清廉を立通した。少くも利権割取を政治家の余得として一進一退を総て金に換えて怪まない今の政界にあっては沼南は実に鶏群の一鶴であった。....
」より 著者:岡本かの子
みはやがて力強い情熱を唆って漕ぎ勝とうと彼女を一心にさせる。また松浦が漕ぎ越す。一進一退のピッチは軈て矢を射るよりも速くなっても、自分には同じ水の上に松浦の艇と....