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一遍
「一遍〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
一遍の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「路上」より 著者:芥川竜之介
んはね、あすこの梯子段《はしごだん》を上っても、息が切れるんだとさ。僕は二段ずつ
一遍にとび上る事が出来るんだぜ。」
俊助は辰子と顔を見合せて、ようやく心置きの....
「捨児」より 著者:芥川竜之介
んで捨児の親だと名乗って出るものは見当りません。――いや勇之助が三歳の時、たった
一遍、親だと云う白粉焼《おしろいや》けのした女が、尋ねて来た事がありました。しか....
「将軍」より 著者:芥川竜之介
跡《あと》から、あの界隈《かいわい》の砲台をみんな手に入れてしまうのじゃ。何でも
一遍《いっぺん》にあの砲台へ、飛びつく心にならなければいかん。――」
そう云う....
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
っきの話を続け出しましたが、新蔵はやはり泰さんの計画と云うのが気になるので、もう
一遍昨日のように、「一体何をどうする心算《つもり》なんだ。」と尋ねますと、相手は....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
)をしてティコ・ブラーヘを『天文学者の王』と名付けさせた所以である。ティコはもう
一遍地球を我々の遊星系の中心点へ引き戻した。しかして地球の周囲を太陽太陰が回ると....
「最終戦争論」より 著者:石原莞爾
の後進者であるわれわれが、この偉大な生産力の大拡充を強行するためには、普通の通り
一遍の方式ではダメです。何とかして西洋人の及ばぬ大きな産業能力を発揮しなければな....
「かんかん虫」より 著者:有島武郎
る。あの眼ならショパンの顔に着けても似合うだろうと、そう思った事もある。然しまだ
一遍も言葉を交えた事がない。私は其の旨を答えようとするとヤコフ・イリイッチは例の....
「白金之絵図」より 著者:泉鏡花
る、それはある。が、表のこの町内は、俺が許と、あと二三軒、しかも大々とした邸だ。
一遍通り門札を見ても分る。いやさ、猫でも、犬でも分る。 一体、何家を捜す? い....
「南地心中」より 著者:泉鏡花
す。」と判然云って莞爾する、瞼に薄く色が染まって、類なき紅葉の中の俤である。 「
一遍お待ちやす……思を遂げんと気がかりなよって、見ていておくれやす。私が手伝うさ....
「灯明之巻」より 著者:泉鏡花
亭種彦作、歌川国貞|画――奇妙頂礼地蔵の道行――を、ご一覧になるがいい。 通り
一遍の客ではなく、梅水の馴染で、昔からの贔屓連が、六七十人、多い時は百人に余る大....
「橋」より 著者:池谷信三郎
は実際びっくりしてしまったのだった。 お互いに信じ合い、恋し合っている男女が、
一遍このポオカアのゲームをしてみるがいい。忍びこんだメフィストの笑いのように、暗....
「化銀杏」より 著者:泉鏡花
かなんか知らないが、そういったようなことを極めたのは、誰だと、まあ、お思いだえ。
一遍婚礼をすりゃ疵者だの、離縁るのは女の恥だのッて、人の身体を自由にさせないで、....
「活動写真」より 著者:淡島寒月
その場に出ているものに調和したものが、即ち趣味を以って置かれている。決してお義理
一遍になげやりにただ舞台を飾るというだけに置かれてあるような事はない。総てにおい....
「墓」より 著者:秋田滋
くしは、肉体的な愛慾とか、あるいはまた尋常一と通りの精神的な愛情、そのような通り
一遍の気持で愛していたのではございません。わたくしは、何ものをもってしても代える....
「米」より 著者:犬田卯
るめえと思ってよ。」 この女房の一言はぐさりと浩平の胸を刺した。 「なに、もう
一遍言ってみろ。」 ぐいっと向き直ったが、おせきのぎらぎらする両眼に打つかると....