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一過
「一過〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
一過の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
急に鋭い目を、次郎の上に転じると、たちまち冷ややかな微笑が、くちびるをかすめて、
一過した。
「そんなに疑うのなら、いい事を教えてあげましょうか。」
「いい事?」....
「綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
ている。むかしの夕立の男性的なるに引きかえて、このごろの夕立は女性的である。雷雨
一過の後も爽かな涼気を感ずる場合が少なく、いつまでもジメジメして、蒸し暑く、陰鬱....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
後日必ず悔ゆる時機がまいりましょう」
鎮子の姿が扉の向うに消えてしまうと、論争
一過後の室は、ちょうど放電後の、真空といった空虚な感じで、再び黴臭い沈黙が漂いは....
「現代哲学講話」より 著者:戸坂潤
的にはならないだろうから。批評とは想像されるよりも遙かに影響範囲の大きい根本的な
一過程なのである。 文化財生産関係なのである。 ではこの場合、アカデミズムに....
「わかれ」より 著者:国木田独歩
どろみしが目さめし時はかれの顔|真っ蒼なりき。憂えも怒りも心の戦いもやみて、暴風
一過、かれが胸には一片の秋雲凝って動かず。床にありていずこともなく凝視めし眼より....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
しょう》に価するようなものばかりであった。笑うべき土竜《もぐら》の巣だ! 生命が
一過すれば、すべては清掃されるのだ……。 クリストフは精力に満ちあふれながら、....
「夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
反抗が嫌なら嫌で、もっと落ち著いていればよかったろうと思われたに違いない。暴風も
一過すれば必ず収まるものである。かれはそれを知らぬでもなかったが、そういう心構を....
「次郎物語」より 著者:下村湖人
いしてながくあとをひくというほどではなかった。月があらたまるとともに、むしろ台風
一過の感さえあった。事変後の国内諸状勢の深刻さは、まだ多くの塾生たちの関心のそと....
「火の扉」より 著者:岸田国士
いながら、火のない火ばちにかゝつた薬かんの口から、ゴクゴク、水を飲んだ。 大風
一過というおもむきであつた。 北原ミユキは、もう出るにも出られず、そうかと云つ....
「純粋経済学要論」より 著者:手塚寿郎
、すべての摸索を繰り返さねばならぬ。 この新しい点から出発して、私共は、まず第
一過程として、生産物の市場において、方程式 D'''a+ …… -(D'''....
「新らしき文学」より 著者:坂口安吾
を感じている。不動のもの永遠のものは已に亡びている。われわれは変化の中に、発展の
一過程の中に、反撥から創造へ向う人間を探究し創りつづけてゆかなければならない。 ....
「なよたけ」より 著者:加藤道夫
方へ退場。しばらくは「大納言様! 大納言様!」と呼ぶ声。 やがて、舞台は急に大風
一過。不気味なほど、寂然とする。 文麻呂も清原も、まるで空けたように、呆然として....
「西航日録」より 著者:井上円了
向かいて進行す。船客みな夏装をなし、食時扇風を用う。 三十日(日曜)午後、驟雨
一過。その翌日はすなわち十二月一日なり。早朝、雲際に山影を認む。これアンナンの南....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
す。ときに雨はなはだしく至る。ゆえに船中に一泊す。 十三日、曇り。ときどき驟雨
一過、わが梅雨の時のごとし。午前七時、小舟にて本船に帰る。カントン往復水路、およ....
「仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
りの競争が行われ、鬱屈する気分は刹那的、末梢的の快楽を追い、外国より直輸入された
一過性の思想は昨今殊に目まぐるしく崩れ行きて、しかも東洋思想の優れたるものあるを....