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一重瞼
「一重瞼〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
一重瞼の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「美少女」より 著者:太宰治
対象としても、これは崇高なほど立派なものだと思った。少女は、きつい顔をしていた。
一重瞼《ひとえまぶた》の三白眼で、眼尻がきりっと上っている。鼻は尋常で、唇は少し....
「逆行」より 著者:太宰治
て、腹がたつ。 私は百姓の顔を見直した。短い角刈にした小さい頭と、うすい眉と、
一重瞼《ひとえまぶた》の三白眼《さんぱくがん》と、蒼黒《あおぐろ》い皮膚であった....
「オリンポスの果実」より 著者:田中英光
くばかりでした。
ぼくは前から、左側の瞼《まぶた》だけが二重《ふたえ》で、右は
一重瞼なのです。それを両方共、二重にする為《ため》には、眼を大きく上に瞠《みは》....
「永日小品」より 著者:夏目漱石
見た。やはり口元に何か曰《いわ》くがある。けれども非常に落ちついている。切れ長の
一重瞼《ひとえまぶち》の中から静かな眸《ひとみ》が座敷の下に落ちた。井深はまた机....
「虞美人草」より 著者:夏目漱石
「たしかに酔っ払ってるようだ。君はまた珍らしく畏《かしこ》まってるじゃないか」と
一重瞼《ひとえまぶた》の長く切れた間から、宗近君をじろりと見た。 「おれは、これ....
「明暗」より 著者:夏目漱石
その眉を動かした。惜しい事に彼女の眼は細過ぎた。おまけに愛嬌《あいきょう》のない
一重瞼《ひとえまぶち》であった。けれどもその
一重瞼の中に輝やく瞳子《ひとみ》は漆....
「斜陽」より 著者:太宰治
かし、おそらく、逢った事は無いでしょう。そのひとは、姉さんよりも、少し年上です。
一重瞼で、目尻が吊り上って、髪にパーマネントなどかけた事が無く、いつも強く、ひっ....
「鷭狩」より 著者:泉鏡花
ように、紅にちらめくばかり。もの静な、ひとがらな、おっとりした、顔も下ぶくれで、
一重瞼の、すっと涼しいのが、ぽっと湯に染まって、眉の優しい、容子のいい女で、色は....
「南地心中」より 著者:泉鏡花
げると、杯洗の縁にカチリと砕けて、颯と欠らが四辺に散った。 色めき白ける燈に、
一重瞼の目を清しく、美津は伏せたる面を上げた。 「ああ、皆さん、私が猿を舞いまっ....
「橋」より 著者:池谷信三郎
がその無数の断面に七色の虹を描きだして、彼女はうっとりと見入っていた。 彼女の
一重瞼をこんなに気高いと思ったことはない。彼女の襟足をこんなに白いと感じたことは....
「光は影を」より 著者:岸田国士
思うんですけど……」 ぽつり、ぽつりと、彼女はいう。伏せた眼をときどきあげる。
一重瞼がくつきりと二重になる、素朴で、熱つぽい眼である。 「食べて行くだけなら、....
「大塚楠緒子」より 著者:長谷川時雨
もかげ》でした。 やや面長《おもなが》なお顔だち、ぱっちりと見張った張りのある
一重瞼《ひとえまぶち》。涼しいのも、爽《さわや》かなのも、凛《りん》としておいで....
「魔都」より 著者:久生十蘭
うのにまさに匹敵するというから怪しい。こんなのを竜眼|鳳眦《ほうし》というのか、
一重瞼の切れの長い眼の中には淀まぬ清い光があり、唇は無限の威厳を示して寛濶に引結....
「地上」より 著者:島田清次郎
米子は瓜実顔の、鼻が少し透り過ぎてさきの方が垂れ下がっているようにさえ見えたが、
一重瞼のいい眼をもっていた。市子は肉付の豊かな、眉毛と眼のところに穏やかな優しみ....
「卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
兄妹ですもの。」 私は酌をうけながら、ふと雪代の顔を見た。美しい人は頷くように
一重瞼を寂しく伏せた。 「何だか、縁づいた総領の娘が、病気で帰っているんだって…....