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一閑
「一閑〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
一閑の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「行人」より 著者:夏目漱石
たいだけ寝ていられます。私は兄さんをそっとしておいて、次の座敷に据《す》えてある
一閑張《いっかんばり》の机に向う事ができます。昼もその通りです。二人差向いでいる....
「綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
扱うと疵だらけになる。それが桐材の欠点で、自然にすたれて来たのでしょう。それから
一閑張りの机が一時は流行しました。それも柔らかでよいのと、軽くてよいのと、値段が....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
ない。容易ならぬ時代を思い顔な子息の勝重をかたわらにすわらせて、客と一緒に大きな
一閑張りの卓をかこんだところは、それでも同じ血を分けた親子かと思われるほどだ。 ....
「家」より 著者:島崎藤村
よく見えるようにと、三吉はすっかり障子を開け展げた。正太も広い部屋の真中へ大きな
一閑張の机を持出した。こうして、二人ぎりで、楽しい雑談に耽るにつけても、正太はこ....
「家」より 著者:島崎藤村
へ来た。 奥座敷の中央には、正太が若い時に手ずから張って漆を抹いたという大きな
一閑張の机が置いてある。その前に、お種は留守を預ったという顔付で、先代から伝った....
「蒲団」より 著者:田山花袋
と往来の人やら子供やらで喧しい。時雄の書斎にある西洋本箱を小さくしたような本箱が
一閑張の机の傍にあって、その上には鏡と、紅皿と、白粉の罎と、今一つシュウソカリの....
「縮図」より 著者:徳田秋声
銀子が顔を直し、仕度をして行ってみると、薄色の間の背広を着た倉持は、大振りな赭い
一閑張の卓に倚って、緊張した顔をしていたが、看ると鞄が一つ床の間においてあった。....
「黴」より 著者:徳田秋声
ぷりして、深山に衝ッ突かるようなことはめずらしくもなかった。 深山は古い笹村の
一閑張りの机などを持って、別の家へ入って行った。そこへ、この家を周旋した笹村の友....
「別れたる妻に送る手紙」より 著者:近松秋江
層強い太息を洩らしながら、それまでは火鉢の縁に翳していた両手を懐中に入れて、傍の
一閑張りの机にぐッたりと身を凭せかけた。そうして右の掌だけ半分ほど胸の処から覗し....
「女心の強ければ」より 著者:豊島与志雄
を拵えていた。久恵の賃仕事と敏子のデパート勤めとが済んだ宵の、手遊びなのである。
一閑張の円卓に、茶菓が出されてるが、久恵は長谷川にすすめようともせず、ただにこや....
「郷介法師」より 著者:国枝史郎
っと気不味そうな顔をしたが、 「いや左様ばかりは云われませぬ。天王寺屋宗休、綿屋
一閑、みな襲われたではござらぬかな。お大名衆では益田長盛様、石田様さえ襲われたと....
「名人地獄」より 著者:国枝史郎
たものである。「まずこれで脈はある」 「それはわからぬ」とどなったのは、縁の上の
一閑斎で、「刃の稲妻、消えた提灯、ヒーッという女の悲鳴、殺されたに相違ない!」 ....
「書記官」より 著者:川上眉山
、朝まだきの床の中より用意に急がしく、それ庭を掃け※を出せ、銀穂屋付きの手炉に、
一閑釣瓶の煙草盆、床には御自慢の探幽が、和歌の三夕これを見てくれの三幅対、銘も聞....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
しなかったので、 「貴方|憚り様ですが呼鈴を、」とお睦まじい。 すなわち傍なる
一閑張の机、ここで書見をするとも見えず、帙入の歌の集、蒔絵の巻莨入、銀の吸殻|落....
「それから」より 著者:夏目漱石
てやっぱり露西亜文学を鼓吹していた。 玄関から座敷へ通って見ると、寺尾は真中へ
一閑張《いっかんばり》の机を据えて、頭痛がすると云って鉢巻をして、腕まくりで、帝....