一陽来復[語句情報] » 一陽来復

「一陽来復〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

一陽来復の前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
真景累ヶ淵」より 著者:三遊亭円朝
門も此の一事には大《おお》きに閉口いたして居りました。すると其の年も明けまして、一陽来復《いちようらいふく》、春を迎えましても、まことに屋敷は陰々《いん/\》と....
みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
十、頭は追々白くなって、気は恒春園の恒に若く、荒れた園圃と朽ち行く家の中にやがて一陽来復の時を待ちつゝ日一日と徐に私共の仕事をすすめて居ます。 書きたい事に切....
新釈諸国噺」より 著者:太宰治
陰陽と続いて行くんだ。仕合せと不仕合せとは軒続きさ。ひでえ不仕合せのすぐお隣りは一陽来復の大吉さ。ここの道理を忘れちゃいけない。来年は、これあ何としても大吉にき....
映画雑感(Ⅲ)」より 著者:寺田寅彦
十年も若返ったような顔で目にはいっぱい涙がたまっている。堅く閉じた心の氷がとけて一陽来復の春が来たのである。そうして静かにこの一編の終末がフェードアウトするので....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
部を、惜気もなく提供したところから来る景気で、これがあるゆえに、ばけもの屋敷に、一陽来復の春来れりとぞ思わるる。 この黄金の光で、ばけもの屋敷がいとど色めいて....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
んですからね、ひとつ火を入れましょう。この多年冷遇され、閑却された行燈に向って、一陽来復の火の色を恵むのも仁ではございませんか――どれ、ひとつ、永らく失業のほく....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
行してしまったし、それがために、隣の鰡八御殿は急にひっそりして、道庵の貧乏屋敷に一陽来復の春が来たのはおめでたいが、単にそれだけの嬉しまぎれに、ほうつき歩くもの....
源氏物語」より 著者:紫式部
出入りしようとする者はなかった。その家へ光源氏の手紙が来たのであるから、女房らは一陽来復の夢を作って、女王に返事を書くことも勧めたが、世間のあらゆる内気の人の中....
レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
年内の白い蝶《ちょう》は始めて飛び出し、永遠の婚礼の楽手たる春風は、古い詩人らが一陽来復と呼んだ黎明《れいめい》の大交響曲の最初の譜を樹木の間に奏していた――そ....
我が人生観」より 著者:坂口安吾
日二日は身動きできず、そのドロドロをなめながら、ケダモノの穴ゴモリのような気持で一陽来復を待っていたのであった。 私は、しかし、この小屋に長くはとどまらなかっ....
明日は天気になれ」より 著者:坂口安吾
は貧乏人の集るところだ。零落した人がこの界隈へ集ってきて、しがない稼ぎをしながら一陽来復をまつ。そういう零落した家族が諸方の二階にトグロをまいている。三間も四間....
慶応義塾学生諸氏に告ぐ」より 著者:福沢諭吉
の歳華《さいか》すでに改まりて、慶応義塾の教育法は大いに改まるに非ずといえども、一陽来復とともにこの旧教育法に新鮮の生気をあたうるはまたおのずから要用なるべし。....
随筆 新平家」より 著者:吉川英治
けつけた源九郎義経と、頼朝とが初めて兄弟の名のり合いをするなど、今や、東国の野は一陽来復の春を芽ざし、西の空、旧き都は荒涼として、飢民の土小屋に煙さえ立たず、福....