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一隅
「一隅〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
一隅の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「将軍」より 著者:芥川竜之介
と一方へ引かれて行った。
舞台は日本の室内だった。それが米屋の店だと云う事は、
一隅に積まれた米俵が、わずかに暗示を与えていた。そこへ前垂掛《まえだれが》けの米....
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
罷工《どうめいひこう》や婦人運動の報道が出ている。――そう云う今日、この大都会の
一隅でポオやホフマンの小説にでもありそうな、気味の悪い事件が起ったと云う事は、い....
「或る女」より 著者:有島武郎
とに行って見ると履《は》き物《もの》は一つ残らずそろえてあって、傘《かさ》は傘で
一隅《いちぐう》にちゃんと集めてあった。葉子も及ばない素早《すばや》さで花びんの....
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
んで、せっせと小枝や根っこを拾った。仁右衛門は一本の鍬《くわ》で四町にあまる畑の
一隅から掘り起しはじめた。外《ほか》の小作人は野良《のら》仕事に片をつけて、今は....
「星座」より 著者:有島武郎
にあった。
ふと柿江の眼の前には大黒座の絵看板があった。薄野《すすきの》遊廓の
一隅に来てしまったことを柿江は覚《さと》った。そこには一丈もありそうな棒矢来《ぼ....
「性急な思想」より 著者:石川啄木
いか。有る――少くとも、我々をしてそういう風に疑わしめるような傾向が、現代の或る
一隅に確《たしか》に有ると私は思う。 三 性急な心は、目的を失....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
ども――そして社会なるものは性質上多分永久にそうであろうけれども――その何処かの
一隅には必ず潜勢力としてそれが伏在していなければならぬ。社会は社会自身の意志に反....
「春の潮」より 著者:伊藤左千夫
こめて、堂塔を掩うて尊い。 桑を摘んでか茶を摘んでか、笊を抱えた男女三、四人、
一隅の森から現われて済福寺の前へ降りてくる。 お千代は北の幸谷なる里方へ帰り、....
「紅黄録」より 著者:伊藤左千夫
する。そして茶をわかすからといって立った。 蚊帳の釣り手は三|隅だけはずして、
一隅はそのままむちゃくちゃに片寄せてある。夜具も着物も襖の隅へ積み重ねたままであ....
「転機」より 著者:伊藤野枝
し、無視することもできないのだ。 私がたまたま聞いた一つの事実は、広い世の中の
一隅における、ほんの一小部分の出来事に過ぎないのだ。もっともっと酷い不公平を受け....
「豊島与志雄氏の事」より 著者:芥川竜之介
年の秋、どこかで皆が集まって、飯を食った時にも会ったと云う記憶がある。「玉突場の
一隅」を褒めたら、あれは左程自信がないと云ったのも恐らく其時だったろう。それから....
「映画の普及力とは」より 著者:伊丹万作
館にも映画会社にもトーキーの再生装置がなかつたとき、本願寺の大谷さんのおやしきの
一隅にはちやんとトーキーの映写室がありウェスタンの再生機がすわつていた。 本願....
「スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
は、ぴかぴか光る白鑞の器が長い食器戸棚にいく列も並んでおり、目も眩いほどだった。
一隅に羊毛の大袋があって、紡ぐばかりになっていたし、また別の隅には、機織り機械か....
「荒蕪地」より 著者:犬田卯
面に持っていたし、それに隣ってほぼ同じほどの面積の小作田も持っていた。そしてその
一隅の耕地は役場からの通知によると三畝歩ほどの『荒蕪地』を含み、さらに彼は川沿い....
「欧米各国 政教日記」より 著者:井上円了
に隣接して立ち、市中に散布して存す。決してわが国東京その他各都府の寺院のごとく、
一隅に僻在するにあらず。 一寺住職すなわち牧師たるものは、その寺の礼拝、説教、....