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一面識
「一面識〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
一面識の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「Kの昇天」より 著者:梶井基次郎
《ひ》と月ほどの間に、あの療養地のN海岸で偶然にも、K君と相識ったというような、
一面識もない私にお手紙をくださるようになったのだと思います。私はあなたのお手紙で....
「無名作家の日記」より 著者:菊池寛
君をかなり尊敬し始めたが、これを聞くと少しこの人が気の毒に思われた。ただ同県人で
一面識しかない林田草人を頼りにして、澄ましておられるこの人の呑気《のんき》さが、....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
何か、そうした人じゃないようだ、(ようだ。)とまだ疑があるのか。」 「だってただ
一面識だものね、三四|度交際って見たまえ。ちゃんと分るよ、五度とは言わない。」 ....
「三浦老人昔話」より 著者:岡本綺堂
通り、その当時の贔屓というものは今日とはまた息込みが違っていて、たといその俳優に
一面識が無くとも、自分が蔭ながら贔屓している以上、それを悪く云う奴等は自分のかた....
「私の日常道徳」より 著者:菊池寛
か応じないかは、その人と自分との親疎によって定める。向うがどんなに困っていても、
一面識の人なれば断る。 一、私は生活費以外の金は誰にも貸さないことにしてある。生....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
を貸しますのを、承知する事か、しない事か。便りに思う爺さんだって、旅他国で畔道の
一面識。自分が望んでではありますが、家と云えば、この畳を敷いた――八幡不知。 ....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
であろうと言った。 それから気分の悪いのを押して、彼女は頭巾をかぶって、自分と
一面識のない船長ワトソンの家へ行って、ヴィール夫人がいるかどうかをまた尋ねた。そ....
「雪霊続記」より 著者:泉鏡花
した。 まことは、両側にまだ家のありました頃は、――中に旅籠も交っています――
一面識はなくっても、同じ汽車に乗った人たちが、疎にも、それぞれの二階に籠っている....
「深見夫人の死」より 著者:岡本綺堂
荘に在った為に、無残の圧死を遂げたという。わたしは桐沢氏と直接の交渉もなく、従来
一面識もないのであるが、次郎君がお嬢さんと結婚しているばかりか、かの三好家の一件....
「勝負師」より 著者:織田作之助
ならまだしも、七十五歳の高齢とはいえ今なお安らかな余生を送っている人を、その人と
一面識もない私が六年前の古い新聞の観戦記事の切り抜きをたよりに何の断りなしに勝手....
「瘠我慢の説」より 著者:木村芥舟
紹介を求めて軍艦奉行の邸に伺候し、従僕となりて随行せんことを懇願せしに、奉行は唯
一面識の下に容易くこれを許して航海の列に加わるを得たり。航海中より彼地に至りて滞....
「妖怪玄談」より 著者:井上円了
が故人の名を思えば、その容貌自然にわれわれの想像中に現ずるがごとし。また、たとい
一面識なき人も、その名を聞けば、おのずからその容貌を想出するがごとし。 これを....
「明治劇談 ランプの下にて」より 著者:岡本綺堂
送り込んでくれたが、芝居はもう三幕ほども済んだところであり、その桟敷にはもちろん
一面識もない人たちばかりが大勢坐っているので、わたしは小さくなって後ろの方にかし....
「耳香水」より 著者:大倉燁子
る処で、偶然、彼女を見ましたのです。それも一度ではありません。それまで夫人と私は
一面識もなかったのです。それがこの世を去る間際になって、つづけざまに、二度も三度....
「機密の魅惑」より 著者:大倉燁子
いと思いました。 私は早速ホテルの女将にいろいろ訊いてみました。総領事夫人とは
一面識もないような顔をして云ったのですが、 『この前の総領事さんの奥様が余りお優....