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一頃
「一頃〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
一頃の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「老年」より 著者:芥川竜之介
うが、この頃はめっきり老いこんで、すきな歌沢もめったに謡《うた》わなくなったし、
一頃凝った鶯もいつの間にか飼わなくなった。かわりめ毎に覗き覗きした芝居も、成田屋....
「武蔵野」より 著者:国木田独歩
ものもあるまい、畑とても一眸《いちぼう》数里に続くものはなく一座の林の周囲は畑、
一頃《いっけい》の畑の三方は林、というような具合で、農家がその間に散在してさらに....
「姪子」より 著者:伊藤左千夫
てるよ、もう狂《あば》れ出すような事あんめいね」 「そうですよ伯父さん、わたしも
一頃は余程迷ったから、伯父さんに心配させましたが、去年の春頃から大へん真面目にな....
「幽霊塔」より 著者:黒岩涙香
しい。
待てよ秀子の着物の中には医学士と自称する大場連斎の名札が有った。連斎は
一頃監獄医を勤めたと穴川が云って居た。此の辺の事柄を集めて見ると一概に森主水の言....
「眉かくしの霊」より 著者:泉鏡花
まず……伜どのを立派に育てて、これを東京で学士先生にまで仕立てました。……そこで
一頃は東京|住居をしておりましたが、何でも一旦微禄した家を、故郷に打っ開けて、村....
「家」より 著者:島崎藤村
、弟の方を顧みながら、「この節は毎朝早く起きて、こうして畠の上の方まで見て廻る。
一頃とは大違いで、床に就くようなことは無くなった――私も強くなったぞや」 「姉さ....
「鞄らしくない鞄」より 著者:海野十三
け、脣が横に長いのを特徴の、有名なる私立探偵|帆村荘六《ほむらそうろく》だった。
一頃から思えば、この探偵も深刻にふけて見える。 「猫の子が宙を飛べるものなら、鞄....
「半島一奇抄」より 著者:泉鏡花
かもちょうど、昨年、その頃です。江の浦口野の入海へ漾った、漂流物がありましてな、
一頃はえらい騒ぎでございましたよ。浜方で拾った。それが――困りましたな――これも....
「神鷺之巻」より 著者:泉鏡花
に、ズトン! は大禁物であるから、睨まれては事こわしだ。一旦破寺――西明寺はその
一頃は無住であった――その庫裡に引取って、炉に焚火をして、弁当を使ったあとで、出....
「縷紅新草」より 著者:泉鏡花
て、 「柘榴寺、ね、おじさん、あすこの寺内に、初代元祖、友禅の墓がありましょう。
一頃は訪う人どころか、苔の下に土も枯れ、水も涸いていたんですが、近年他国の人たち....
「二都物語」より 著者:佐々木直次郎
、仮髪の花壇★からにゅっと現れ出ているのが、毎日のように見受けられたのであった。
一頃、ストライヴァー氏は口達者で、無遠慮で、敏捷で、大胆な男ではあるが、弁護士の....
「夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
消するように感ぜられるからであろう。 鶴見は花火が殊に好きで、両国の河開きには
一頃毎年欠かさずに出掛けて行った。 先年静岡に移ってからのことである。近郊の有....
「葛飾砂子」より 著者:泉鏡花
通り、烟突の煙、木場の景色、遠くは永代、新大橋、隅田川の模様なども、同一時刻の同
一頃が、親仁の胸に描かれた。 「姉や、姉や、」と改めて呼びかけて、わずかに身を動....
「役者の顔」より 著者:木村荘八
さないのが良い、と云ったとあります。「絽の頭巾」までのことは当代、無いとしても、
一頃それがはやったような、成るたけ役者も平素の起居動作を書生流にするなどというこ....
「早稲田神楽坂」より 著者:加能作次郎
処のほんの二、三株が花をつけるのみで、他はどうしたわけか立枯れになってしまった。
一頃は見附の桜といって、花時になると電車通りの所から停車場までの間が花のトンネル....