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一順
「一順〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
一順の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「坑夫」より 著者:夏目漱石
るほどに、自分の頭が間に合せの工面にせよ、やっと片づいたと云うものは、単純ながら
一順の過程を通っておる。 自分はどこへ行くんだか分らないが、なにしろ人のいない....
「行人」より 著者:夏目漱石
は世間にもこれほど病人があり得るものかとわざと驚いたような顔をして、彼らの様子を
一順《いちじゅん》見渡してから、梯子段《はしごだん》に足をかけた。自分が偶然あの....
「新世帯」より 著者:徳田秋声
儀をし合った。 新吉とお作の顔は、一様に熱って、目が美しく輝いていた。 盃が
一順廻った時分に、小野がどこからか引っ張って来た若い謡謳いが、末座に坐って、いき....
「足迹」より 著者:徳田秋声
はまた顔に袖を当てて笑い出した。 「いや真実に。」と、その男も笑い出した。そして
一順人々の手を経廻って来た時計を、そっと懐へしまいこんだ。 やがてランプの釣り....
「天守物語」より 著者:泉鏡花
ぼん、ぼろぼん。此方衆|思ざしを受きょうならば。 侍女五人扇子を開く、朱の盤杯を
一順す。すなわち立つ。腰なる太刀をすらりと抜き、以前の兜を切先にかけて、衝と天井....
「伯爵の釵」より 著者:泉鏡花
に参ずるのに、杯をめぐらすという故実は聞かぬが、しかし事実である。 伶人の奏楽
一順して、ヒュウと簫の音の虚空に響く時、柳の葉にちらちらと緋の袴がかかった。 ....
「踊る地平線」より 著者:谷譲次
せろと言ったのだそうだ。 この恐るべきポウト・サイドの後宮をPASHAのごとく
一順して、私たちは港へ帰った。 あらゆる天候によごれたSS・H丸の姿が何と有難....
「鳴雪自叙伝」より 著者:内藤鳴雪
は長男健行を携えて神田の三崎町に下宿した。この際、従弟で浅井から養子に行った天岸
一順というが学問のため出京していたのでこれもこの下宿へ同寓せしめることにした。知....
「祭」より 著者:寺田寅彦
長かったは母上で、いちばん神様の御気に召したかと思われるはせいちゃんのであった。
一順すむと祭壇の菓子を下げて子供等に頂かせる。我も一度はこの御頂きをうれしがった....
「東上記」より 著者:寺田寅彦
の情先ず有難く、この枳殼誤って足にかけたれば取りかえてよと云う人の情もうれし。盃
一順。早く行て船室へ場を取りませねばと立上がれば婢僕親戚|上り框に集いて荷物を車....
「明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
つまんだ。 次がキン、清松、竹造の順だが、清松は腕が痺れているからトクが代る。
一順すると、再び同じ順にくりかえして、二十順ちかく、事故なく真珠の分配を終った。....
「明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
の頭をまるめているうちから焼香が行われていたから、彼が棺桶に横たわって間もなく、
一順の焼香を終える。 型の如くに喪主の清作と外孫の当吉(十三)金次(十)が現れ....
「人魚謎お岩殺し」より 著者:小栗虫太郎
には、フェロシアン・カリウムを注射するのだ。すると、二十何秒か経って、その血液が
一順したとき、塩化鉄が溶けて真青な色に変るのだよ。つまり、あの時の逢痴が、意識朦....
「卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
舞台からの乗込みである。ここにいささかなりとも、その出迎えの模様、対手方と挨拶の
一順はあるべきだけれど、実は記すべき事がない。――仔細は別にあるとして、私の連立....
「それから」より 著者:夏目漱石
あった。 代助は彼の小さな世界の中心に立って、彼の世界を斯様《かよう》に観て、
一順その関係比例を頭の中で調べた上、 「善かろう」と云って、又家を出た。そうして....