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一顧
「一顧〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
一顧の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
の批評眼にかけて、綿密に点検した。そうして、それが、いかなる点から考えてみても、
一顧の価のない愚論だという事実を、即座に証明することが出来た。が、それにもかかわ....
「沼地」より 著者:芥川竜之介
する草木《そうもく》とを描《か》いただけだから、恐らく尋常の見物からは、文字通り
一顧さえも受けなかった事であろう。
その上不思議な事にこの画家は、蓊鬱《おうう....
「星座」より 著者:有島武郎
えども、あるいは少しく兄の憐みを惹《ひ》くものなきにしもあらじ。しかも古人の蹟を
一顧すれば、たちまち慚汗《ざんかん》の背に流るるを覚ゆ。貧窮《ひんきゅう》、病弱....
「鼻」より 著者:ゴーゴリニコライ
にもつかぬでたらめな話が流布されるのかとんとわからない、それにまた、政府がこれに
一顧の注意も払わないのはじつにけしからんと言って憤慨した。どうやら、この紳士は何....
「冬の蠅」より 著者:梶井基次郎
なかへ道の上の小石が歯のような影を立てた。一台の自動車が、それを避けている私には
一顧の注意も払わずに走り過ぎて行った。しばらく私はぼんやりしていた。自動車はやが....
「青春の逆説」より 著者:織田作之助
じつは、仕事らしい仕事を与えられず、ときどき土門に金を借りられる以外は誰からも
一顧も与えられなかったので、豹一はうんざりし、かつ何か屈辱を感じていたのである。....
「水害雑録」より 著者:伊藤左千夫
での線路の通行を許してくれと乞うた。駅員らは何か話合うていたらしく、自分の切願に
一顧をくれるものも無く、挨拶もせぬ。 いかがでしょうか、物の十分間もかかるまい....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
に過ぎなかったに、思わざりき、久能山上の事あらんとは。我は偏に、君の家厳の、左右
一顧の余裕のない、一時の激怒を惜むとともに、清冽一塵の交るを許さぬ、峻厳なるその....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
がぼっとするのみのことで、事物の識別はほとんど明瞭につくはずであるから、それには
一顧する価値もなかった。法水は、画廊の両壁を観賞してゆくような足取りで、ゆったり....
「武装せる市街」より 著者:黒島伝治
八百五十八円で売買したものさえある。高価な椅子や卓や鏡や、絹織物が、誰れからも、
一顧も与えられなくなってしまった。 同時に、社会の動揺は、無数の労働者達の行動....
「暗号の役割」より 著者:海野十三
の破れている手紙だった。それが収穫物だったのだ。 さすがに探偵で、普通の者なら
一顧もしないものを、彼はポケットへねじこみ、それから公園へ躍りこんだ。それはさっ....
「道成寺(一幕劇)」より 著者:郡虎彦
があたかも何ものかを見出でて。 妙源 や、女の姿が上って来る―― 他の僧徒らまた
一顧するや怪しく叫び、期せずして相|捉う。たとえば恐怖の流れ狂僧の枯躯を繞り、歯....
「学生と教養」より 著者:倉田百三
熱鉛を水中に滴下すれば、さまざまの奇形を生ずる。しかし一つ一つの形は自然科学には
一顧の価もない。しかし精神科学では個性的なものが最も価あるものである。フリードリ....
「明日は天気になれ」より 著者:坂口安吾
花の下に死にたいと歌をよんだ人もあるが、およそそこでは人間が死ぬなどということが
一顧にも価いすることではなかったのだ。焼死者を見ても焼鳥を見てると全く同じだけの....
「特殊部落の言語」より 著者:喜田貞吉
えているのも少くはなかろう。言葉が違っているが故に、本来種族が違うなどいう事は、
一顧に値せぬ空想に過ぎない。よしや本来種族を異にしたものがあって、固有の言葉が一....