一食[語句情報] »
一食
「一食〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
一食の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「十円札」より 著者:芥川竜之介
え、九十銭以上になったことはない。もっとも一月《ひとつき》五円の間代《まだい》に
一食五十銭の食料の払いはそれだけでも確かに間《ま》に合って行った。のみならず彼の....
「お時儀」より 著者:芥川竜之介
えない砂浜《すなはま》へ行った。これは珍らしいことではない。彼は一月五円の貸間と
一食五十銭の弁当とにしみじみ世の中が厭《いや》になると、必ずこの砂の上へグラスゴ....
「或る女」より 著者:有島武郎
た。
「そういわずとも少し召し上がれ、ね、せっかくねえさんが加減したんだから。第
一食べないでいては弱ってしまいますよ」
そう促してみても貞世は金輪際《こんりん....
「ある抗議書」より 著者:菊池寛
残りを惜しませただけでありました。 母は、姉の悲業の死を聞いてから、三日の間は
一食も咽喉を通らない程でありました。その時は丁度六十一でありましたが、元来瘠せて....
「神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
一言も返辞をしなかった。 饗応しようとする者があれば、「私は乞食でございます。
一食で結構でございます」 こう云ってそれを辞退した。 黄金をくれようと苦心し....
「中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
りを好むようになった。肉も煮焼きをしたものは気に入らず、もっぱら生の肉を啖って、
一食ごとに猪の頭や猪の股を梨や棗のように平らげるので、子や孫らはみな彼をおそれた....
「霊魂第十号の秘密」より 著者:海野十三
どうなることかと思ったが、たましいだけで暮していると、案外気楽なものであった。第
一食事をする必要もないし、交通禍《こうつうか》を心配しないで思うところへとんで行....
「楢重雑筆」より 著者:小出楢重
だけのものなら面倒臭い言葉なども使う必要もなし、文章など考えて書く必要もなし、第
一食事のために働くという馬鹿気た仕事がなくなっていいのだ、恋愛などもすぐ心と心が....
「異国食餌抄」より 著者:岡本かの子
の料理屋から、テーブルの脚が妙にガタつき縁のかけたちぐはぐの皿に曲ったフォークで
一食五フラン(約四十銭)ぐらいの安料理を食べさせる場末のレストラントまで数えたて....
「獄中消息」より 著者:大杉栄
自分ながら多少驚かれもするが、さりとてどこと言ってからだに異状があるのでもない。
一食一合七勺の飯を一粒も残さず平らげて、もう一杯欲しいなあと思っているくらいだ。....
「家なき子」より 著者:楠山正雄
しの持っている十一スーでは昼食と晩食を食べるには足りなかった。そこでわたしたちは
一食で両方|兼帯の昼食を食べて、満足しなければならなかった。 わたしたちは巡査....
「チベット旅行記」より 著者:河口慧海
椀に二杯位喰いますとそれでその日の食事はすむのです。もちろんこれまでとてもいつも
一食しかやりません。朝はちょっと樹の実の乾したものすなわち乾桃とかあるいは乾葡萄....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
ある。およそ食事の時間五分前から、ソロソロ食堂へつめかけ、鐘報を待ち構えておる。
一食卓に十八人ずつ互いに向かい合わせて対座するが、給仕のボーイは一人である。しか....
「料理一夕話」より 著者:北大路魯山人
から、「美食倶楽部」を拵えようじゃないかと、みなが言い出すようになった。じゃあ、
一食二円ということになって、やっているうちに、その中のひとりが、江木衷は有名な食....
「新古細句銀座通」より 著者:岸田劉生
冷や飯にたくあんに相当すると聞いたことがあるが二た昔前まで、ミルクにパンに紅茶を
一食まぜるということはハイカラな生活で、まあ自慢の一つになるものであった。しかし....