丁子[語句情報] » 丁子

「丁子〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

丁子の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
路上」より 著者:芥川竜之介
うして?」 「どうしてったって、――いずれ然るべき事情があってさ。」 この時|丁子《ちょうじ》の花の※《におい》が、甘たるく二人の鼻を打った。二人ともほとんど....
星座」より 著者:有島武郎
る油で、盛んな油煙を吐きだしながら、真黄色になってともっていた。芯の先には大きな丁子《ちょうじ》ができて、もぐさのように燃えていた。気がついてみると、小さな部屋....
「いき」の構造」より 著者:九鬼周造
わちゃ》、鳶色《とびいろ》、煤竹色《すすだけいろ》、銀煤色、栗色、栗梅、栗皮茶、丁子茶《ちょうじちゃ》、素海松茶《すみるちゃ》、藍《あい》海松茶、かわらけ茶など....
右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
ょうかね」 「次から次へ、よくとんきょう口がきけるやつだな、これが有名な古梅園の丁子油じゃねえか」 「へへえ、この油が丁子油でござんすか。安い品じゃねえように承....
婦系図」より 著者:泉鏡花
と見上げる。 茶の中折帽を無造作に、黒地に茶の千筋、平お召の一枚小袖。黒斜子に丁子巴の三つ紋の羽織、紺の無地献上博多の帯腰すっきりと、片手を懐に、裄短な袖を投....
朱日記」より 著者:泉鏡花
に一面の火になったが、遥かに小さく、ちらちらと、ただやっぱり物見の松の梢の処に、丁子頭が揺れるように見て、気が静ると、坊主も猿も影も無い。赤い旗も、花火が落ちる....
陽炎座」より 著者:泉鏡花
飩屋は舞台を飛退く。 十一 この古行燈が、仇も情も、赤くこぼれた丁子のごとく、煤の中に色を籠めて消えずにいて、それが、針の穴を通して、不意に口を....
神鷺之巻」より 著者:泉鏡花
の薫のする、金襴の袋を解いて、長刀を、この乳の下へ、平当てにヒヤリと、また芬と、丁子の香がしましたのです。」…… この薙刀を、もとのなげしに納める時は、二人が....
アラビヤンナイト」より 著者:菊池寛
ら、あとの品はみな売りはらって、びゃくだんと、にっけいと、しょうがと、はっかと、丁子香とを買い入れました。 それからもう一度、この船長の船に乗って出かけました....
幕末維新懐古談」より 著者:高村光雲
が鰌屋(これは今もある)。鰌屋横丁を真直に行けば森下へ出る。右へ移ると薪炭問屋の丁子屋、その背面が材木町の出はずれになっていて、この通りに前川という鰻屋がある。....
松園女史の思い出」より 著者:金子薫園
であった。 鶯はまだ啼きやまない。 窓越しに見ると、莟のふくらみかけた大木の丁子の枝遷りして、わが世の春の閑かさ暖かさをこの時に萃めているように。 (昭和二十五年)....
チベット旅行記」より 著者:河口慧海
こりゃいけない、どうしようか知らんと考えて居るとふと思い付いた。かねて堺の岡村の丁子油を持って居る。これを塗るべしと思って早速丁子油の瓶を出して身体にも足にも塗....
五重塔」より 著者:幸田露伴
外へは駈けぬ老牛の痴に似たりけり。 金箔銀箔|瑠璃真珠|水精以上合わせて五宝、丁子沈香白膠薫陸白檀以上合わせて五香、そのほか五薬五穀まで備えて大土祖神埴山彦神....
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)」より 著者:三遊亭円朝
くの間|鋩尖から横手|下物打から鎬、腰刃の辺を見ますると、腰刃みだれ深くいたして丁子乱れに成って居りまして、二尺五寸|余もあります。 伊「誠に結構なお品のように....
春心」より 著者:田中貢太郎
履のような草履で踏んで往った。広巳はうっとりとなって少女に跟いて往った。そこには丁子の花のような匂がそこはかとしていた。少女の声が耳元でした。 「さあ、どうぞ」....