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「丁字〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

丁字の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
道祖問答」より 著者:芥川竜之介
》八の巻《まき》を灯《あかり》の下に繰りひろげた。 切り燈台の火は、花のような丁字《ちょうじ》をむすびながら、明《あかる》く螺鈿《らでん》の経机を照らしている....
黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
つめられた獣のように顫え戦いていた。クリヴォフ夫人の死体は、階段の前方にほとんど丁字形をなして横たわっていた。それが俯向きに倒れ、両腕を前方に投げ出していて、背....
」より 著者:金子ふみ子
れど、父も母も一字だって私に教えてはくれなかった。父には誠意がなく、母には眼に一丁字もなかった。母が買物をして持って帰った包紙の新聞などをひろげて、私は、何を書....
空襲下の日本」より 著者:海野十三
。三条の光芒は、行儀よく上空でぶっちがった。 光芒の中に、白く拭きとったような丁字形が見えた。三つ! 果して敵の重爆撃機の編隊だ。見なれないその異様な恰好! ....
古狢」より 著者:泉鏡花
ちょっと前後した――うぐい亭では、座つきに月雪花。また少々|慾張って、米俵だの、丁字だの、そうした形の落雁を出す。一枚ずつ、女の名が書いてある。場所として最も近....
伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
いたが、猪口も数を累ねず、食べるものも、かの神路山の杉箸を割ったばかり。 客は丁字形に二つ並べた、奥の方の縁台に腰をかけて、掌で項を圧えて、俯向いたり、腕を拱....
」より 著者:井上紅梅
た。 老栓はひたすら歩みを続けているうちにたちまち物に驚かされた。そこは一条の丁字街がありありと眼前に横たわっていたのだ。彼はちょっとあと戻りしてある店の軒下....
十二神貝十郎手柄話」より 著者:国枝史郎
いの、狭い廊下が左右に延び、同じくらいの狭い廊下が、前方へ向かっても延びていた。丁字形になっている廊下の中央に、彼は佇んでいるのであった。その前方に延びている廊....
剣侠」より 著者:国枝史郎
歩いていた。 さすがの彼も疲労したらしく、時々よろめいたり立ち止まったりした。丁字形の辻へ出た。 左右前後をうかがってから、右の方へ歩いて行った。 と、一....
ばけものばなし」より 著者:岸田劉生
。 外に、撞木娘といって、美くしい町娘の風をしていて、顔が丁度、撞木の形、即ち丁字形であって、丁の横の棒の両端に目がついていて中央に赤い口を持ち鼻はない。撞木....
」より 著者:犬田卯
供の身にはやや骨の折れる仕事にとりかかった。田へ入るや否や、気持の納まらぬ彼は、丁字形の泥掻きで反対にいきなり由次の方へ泥をひっかけた。 「あれ、この野郎」由次....
式部小路」より 著者:泉鏡花
に、その恋の敵を、暗殺しようとは思わなかった。 しかし文字のあるものが、目に一丁字のない床屋の若いものに、智慧をつけて、嵩じたいたずらをしたのが害になったんだ....
妖怪学」より 著者:井上円了
は雨の兆しなりといい、夕日の輝くは天気の兆しなりという。また、ある書に、「灯心に丁字頭立てば旱なり」「鍋墨に火点ずれば雨晴るる」という。ある人の天気を詠ずる歌に....
淡島椿岳」より 著者:内田魯庵
伊藤は専ら椿岳の米三郎を交際方面に当らしめた。 伊藤は牙籌一方の人物で、眼に一丁字なく、かつて応挙の王昭君の幅を見て、「椿岳、これは八百屋お七か」と訊いたとい....
南半球五万哩」より 著者:井上円了
して靴を没す。また、往々汚水の毒色を帯びて滞留するあり。これに住する人民は目に一丁字を解せず、身に破褸を着け、垢臭人を襲わんとするも、はだしのもの少なく、裸体せ....