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丁香
「丁香〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
丁香の前後の文節・文章を表示しています。該当する10件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「新生」より 著者:島崎藤村
や町々は若葉の世界であった。人の家の石垣越しなどに紫や白に密集《かたま》って咲く
丁香花《はしどい》もさかりの時に成って来た。この好い季節は岸本の心を活《い》きか....
「猿飛佐助」より 著者:織田作之助
けの睡り薬で参らすんだ。その作り方は、土龍、井守、蝮蛇の血に、天鼠、百足、白檀、
丁香、水銀郎の細末をまぜて……」 そんな陰謀があるとは、知らぬが仏の奈良の都へ....
「冬日記」より 著者:原民喜
て並ぶ。その隣には金色のが、それから薔薇色《ばらいろ》のが。が空はやがて柔かな紫
丁香《ライラック》色になる。この魅するばかりの華麗な空を見て、はじめ大洋は顰《し....
「小景」より 著者:宮本百合子
をまざまざと想うことが出来るに違いない。 そう思って見れば、これ等の瑞々しい紫
丁香花《むらさきはしどい》色の花弁の上には敏感に、微に、遠い雲の流れがてりはえて....
「イオーヌィチ」より 著者:神西清
。そして今この夏の夕ぐれに、往来からは人声や笑いごえが伝わって来るし、庭からは紫
丁香花の匂いの流れて来るなかで、凍てがますますきびしくなって、沈みゆく太陽がその....
「オフェリヤ殺し」より 著者:小栗虫太郎
所がまた、王に扮したあの男に、渡した花と云うのが、頗る妙なんだよ。第一に、紫
丁香花――これは初恋のときめきだ。それから花箪草は、もう信ぜられぬ――と云う意味....
「南国太平記」より 著者:直木三十五
。
壇上の品々――人髪、人骨、人血、蛇皮、肝、鼠の毛、猪の糞、牛の頭、牛の血、
丁香、白檀、蘇合香、毒薬などというものは、人を呪い殺すために、火に投じる生犠の形....
「接吻」より 著者:神西清
なのだということに気がついた。一同はふと空気の中に、ポプラの若葉や、薔薇や、紫|
丁香花の匂っているのを感じた。リャボーヴィチは音楽のおかげで、飲みほしたコニャッ....
「グーセフ」より 著者:神西清
色の光が来て並ぶ。その隣には金色のが、それから薔薇色のが。……空はやがて柔かな紫
丁香花色になる。この魅するばかりの華麗な空を見て、はじめ大洋は顰め面をする。が間....
「三国志」より 著者:吉川英治
子で――客のすぐ前にあって歌った。 一点ノ桜桃|絳唇ヲ啓ク 両行ノ砕玉陽春ヲ噴ク
丁香ノ舌ハ※鋼ノ剣ヲ吐キ 姦邪乱国ノ臣ヲ斬ラント要ス 「いや、おもしろい」 董....