万が一[語句情報] »
万が一
「万が一〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
万が一の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「尼提」より 著者:芥川竜之介
う言う如来《にょらい》の前に糞器《ふんき》を背負《せお》った彼自身を羞《は》じ、
万が一にも無礼のないように倉皇《そうこう》と他《ほか》の路《みち》へ曲ってしまっ....
「片信」より 著者:有島武郎
過の純粋性を保ち、事件の推移の自然を助けるだろうと信ずるのだ。かかる態度が直接に
万が一にも労働階級のためになることがあるかもしれない。中流階級に訴える僕の仕事が....
「星座」より 著者:有島武郎
おばさんに打ちだしてみたところが、ひと弾《はじ》きに弾かれるのは知れきっている。
万が一おぬいさんを彼の力の下においてみたところが、どこまでいっしょにやっていける....
「断崖の錯覚」より 著者:黒木舜平
も、どうやら落ちつきが出て来た。ただ、名前を変えたぐらい、なんの罪があるものか。
万が一、見つかったとしても、冗談だとして笑ってすませることである。若いときには、....
「海野十三敗戦日記」より 著者:海野十三
「勝てると思う。日露役のときも重臣は勝てることはおろか、多分負けると考えていた。
万が一にも敵を撃退し得ないかも知れぬと考えていた。だが頑張りが勝ったのだ。硫黄島....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
ことは云うまでもないが、別して法水が顕示した、不思議な倍音に達する二つの道にも、
万が一の僥倖を思わせるのみのことで、早くも忘れ去られようとするほどの心細さだった....
「武装せる市街」より 著者:黒島伝治
んだ。 しかし内川が、彼を蹴るなら蹴るで、彼は又、彼として、考えがあった。若し
万が一、今度百や二百やの眼くされ金で胡麻化そうとするんなら、その時は、その時で、....
「人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
のだ。で俺が、もしも大塩沙漠から生還した場合、俺は国家への協力をほこれる。また、
万が一の際は知られない犠牲として、俺は個人としての最高の死を遂げることになる。犠....
「貞操問答」より 著者:菊池寛
指さすと、一、二間先に立って、電車通りを渡った。向う側の横町なら、人目も少いし、
万が一にも綾子夫人に、見られる気づかいはないと思ったのであろう。 出雲橋を渡っ....
「潜航艇「鷹の城」」より 著者:小栗虫太郎
の生活が始まって、刻々と、死に向い暗黒にむかって歩みはじめたのです。 しかし、
万が一の希望を繋いでいたとはいえ、あの夢魔のように襲いかかってくる自殺したい衝動....
「火の扉」より 著者:岸田国士
しは、君の青春を大事にあずかるよ。しかし、言つとくがね。君の心配はまず無用だね。
万が一、そういう事態が生じたとしても、君はもう、その時は完全にわしのもんだよ。わ....
「光は影を」より 著者:岸田国士
したが、それは、生命の危険を含む場合だつてあるでしよう? たとえ、そんなことは、
万が一であるにせよ、お医者の権威と人命尊重の精神から、断乎として、患者の行動を制....
「親ごころ」より 著者:秋田滋
お引合わせということもある。無慈悲な運命にも泪はあろう。あるとも思われないような
万が一の※り合わせということも世間にはある。頼むのは、ただそればかりだった。 ....
「俗臭」より 著者:織田作之助
らである。序に、政江の方の離縁は沙汰止みになった。彼女はこゝを先途と喋り立て、「
万が一のこともおまっさかい……」権右衛門名儀の預金中、十五万円を政江、十万円を千....
「鷺娘」より 著者:大倉燁子
だ、彼女の頭の中は華やかな舞台の光景で浮き立った。 「この御恩私一生忘れないわ。
万が一に光村博士に知れた場合、きっと私が命にかけて引受ける。まゆみちゃんを悲境に....